『よそ者、バカ者、若者』地方を変える......"攻める"移住者が増えているってホント?
- 『脱東京 仕事と遊びの垣根をなくす、あたらしい移住』
- 本田 直之
- 毎日新聞出版
- 1,620円(税込)
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レバレッジコンサルティング株式会社代表取締役社長を務める実業家、本田直之さんの近著、『脱東京 仕事と遊びの垣根をなくす、あたらしい移住』。これまでにも『あたらしい働き方』(ダイヤモンド社)や、『ノマドライフ 好きな場所に住んで自由に働くために、やっておくべきこと』(朝日新聞出版)など、ライフスタイルについての著作を多数執筆している本田さんは、同書で、近年、地方移住に対する意識へ変化が起こっていると述べています。
「東京での生活に疲れて他の地域に移住したわけでも、リタイアして田舎暮らしを楽しむのでもありません。ビジネスの第一線でバリバリ活躍していた人たちが、自分のライフスタイルを実現するために移住し始めたのです」(同書より)
一昔前の移住と言えば、IターンやUターン、"都会での暮らしに疲れて田舎に引っ込む"といった文脈で語られがちでした。しかし、近年、"都落ち"といった後ろ向きイメージではなく、むしろ前向きな意識で移住に踏み切る人が増えていると言うのです。
本田さんは、地方を魅力的なものに変えるのは、昔から地元に住んでいる人よりも、むしろ移住者の方が適していると言います。まぜなら、ずっとその地方で暮らしている人は、それが日常で当たり前の状態になってしまい、魅力に気付かなくなっている状態がほとんど。その状況を打開し、地方に活力を取り戻すために、本田さんが同書で紹介するのが『よそ者、バカ者、若者』という言葉です。
よそ者とは、もちろん移住者、バカ者とは、常識に縛られないでユニークな発想ができる人、若者とはその地方を魅力的な街に変えたいというエネルギーがある人のこと。
同書の中では、そこに移住することがプラスになる、元気で面白い企業・行政の取り組みがいくつかあげられていますが、ここで紹介されている都市の1つが、福岡市。企業の起業率も上昇傾向にあり、人口増加率も伸びている福岡市は、創業支援拠点「スタートアップカフェ」のような行政のサポートが充実しているのが特色。
同市の顔である高島宗一郎市長もまた、自身のことを「一点突破でチャレンジしていくしかないのですが、そういったことができるのは、若者とバカ者、そしてよそ者なんです。実を言うと、私はすべてに当てはまっています(笑)」(同書より)と述べています。
先日、10月3日には、東京・六本木にて移住を支援する任意団体「福岡移住計画」によるイベント「『あたらしい移住』~脱東京 福岡行~スペシャルナイト」も開催され、同イベントに登壇した本田さんは、「人生は壮大な実験のようなもの。もし移住先でうまくいかなかったら、やり直せばいい。必ずしも"この地に骨を埋める""一生住みたい"と思う必要はない。私もハワイと東京に拠点を構える二重拠点生活"デュアルライフ"というスタイルを取っています」と述べ、「1年のうちの6ヶ月をハワイ、3ヶ月を日本で生活し、残り2ヶ月をヨーロッパやアジアを旅する」という自身のスタイルを踏まえて、複数に拠点を持つ選択肢も有効だと述べ、会場では身を乗り出して聞き入る人も多く見られました。
「福岡移住計画」主宰者の須賀大介さんや、株式会社ブルースカイ代表取締役の貞末真吾さんをはじめ、移住することで、自分らしい働き方を手に入れた"移住成功者"14人にインタビューし、まとめたこの1冊。思い通りのライフスタイルを手に入れる手段の1つとして、今改めて「移住」というキーワードを捉え直してみてはいかがでしょうか。