現存する日本最古のトイレはどこにある?

京都の「不思議」を楽しむ本 (ロング新書)
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 8月30日をもって43年間の歴史に幕を閉じる、梅小路蒸気機関車館(2016年春、同エリアに併設される新館とともに、京都鉄道博物館としてリニューアルオープン)。

 JR京都駅近くの梅小路公園内にある、この梅小路蒸気機関車館は、1972年10月10日、日本の鉄道開業100周年を記念して旧国鉄が開設。機関区内にある扇形車庫(蒸気機関車をしまう車庫で、その姿が扇を開いた形に見える)の規模は、日本最大であると同時に、国の重要文化財。蒸気機関車の動態保存(現在も線路を走ることができる状態であるということ)数も、日本最大だといいます。

 梅小路蒸気機関車館は、日本で初めてつくられた蒸気機関車専門の博物館ですが、京都にはこの他にも「日本で初めてつくられた」ものがたくさん。小学校、ビアホール、フランスパン、水力発電所なども、日本では京都がその発祥の地なのだそうです。

 さらには、現存する日本最古のトイレも京都の地に。京都駅の東南に位置する、臨済宗の総本山である東福寺の、山門を入ってすぐ左側にある禅宗様式の建物のなかには、東司(とうす)と呼ばれる、現存する日本最古のトイレがあるのだといいます。

 中央にある広い土間、その左右にはたくさんの穴が開いており、それぞれに陶器の壷が2列に計72個並んでいるのだそう。ここで禅僧たちは100人ほど並んで用を足したのだそうです。

 そして用を足す際には、次のような厳しい作法があったのだといいます。

① 法衣を脱いで丁寧に畳み、黄色の土団子を用意する
② 右手に水桶を持ち、厠の前でわらじに履き替え、厠にのぼって壷の上にそん居して用を足す。このとき決して汚したり、笑ったり、歌ったり、つばを吐いたりしてはいけない
③ 用がすんだら、ヘラで拭き、右手で水を散らさないように壷を洗う
④ 手洗い所に行き手を三度洗う
⑤ ついで灰で三度、土団子で三度、サイカチ(植物の葉)で三度洗い、その後も水や湯で手を洗う

 また、このトイレから出た禅僧たちの排泄物は、京都の農村に売られ、京野菜をつくる肥料として使われ、寺にとって貴重な現金収入に。

 本書『京都の「不思議」を楽しむ本』では、京都のこのような名所に隠された謎や、不思議な謂れをもつ穴場、さらには心霊スポットといった、通常のガイドブックとは少し異なった視点から京都の見所を紹介。本書を読み、改めて京都の地を訪れると、今までとはまた違った京都の味わい方ができるはずです。

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