"不老不死伝説"の水から誕生? 今はもう手に入らない、幻の地サイダーの正体
- 『伝説・養老サイダーと菊水霊泉―日本最初のサイダーを支えた者たちとそれを育んだ不老不死霊泉の伝説』
- 日比野 裕
- 文芸社
- 1,404円(税込)
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りんごにスイカ、変わり種ならオリーブや醤油...現在、全国各地でさまざまな種類が展開されている「地サイダー」。地域限定をうたい他所では手に入らないものも多いため旅先のお土産としても人気があり、まちおこしの一助ともなっているご当地モノのひとつです。
そんな地サイダーの先駆け的存在であるのが、岐阜県大垣の「養老サイダー」。前身となる伊吹サイダーが発売された1899年以降、現在でも多くの人に愛飲されている三ツ矢サイダーと人気を二分しヒットしました。しかし、発売しておよそ100年後の2000年に販売を中止。今ではどこに行っても手に入らない、幻のサイダーとなりました。
書籍『伝説・養老サイダーと菊水霊泉―日本最初のサイダーを支えた者たちとそれを育んだ不老不死霊泉の伝説』は、この養老サイダーの歴史を紐解いた一冊。その中で、著者はサイダーに使われている名水・菊水霊泉にまつわる、とある"伝説"に触れています。
それは、この菊水霊泉の湧水が「不老不死の水」と言われているということ。実はこの水、養老サイダーが完成するはるか昔から病気の快癒やけがの回復効果があるとされていました。その証拠に『続日本記』には「之を飲む者は痼疾も皆癒ゆ」と記されており、他にも育毛や視力回復の効果まであったという、まさに不老不死の水とされていたのです。
しかし、続日本記が編さんされたのは平安時代初期のこと。もちろんそこに科学的な根拠などないわけですが、著者は同書の中でさまざまな仮説を立て、この伝説のいわれを検証しています。その結果、養老の地が「トラコテの水(治癒効果があるといわれるメキシコの名水)のように地下活動が依然盛んであり、今でも水が熱分解され活性水素が多量に生成されている可能性は残されているのではなかろうか」とまとめているのです。今日、養老は温泉地としても知られており、身体によい水資源が豊富な場所であることに、何かしらの因果関係があるのかもしれません。
養老サイダーは、今はもう飲むことのできない幻のサイダーではありますが、全国各地の温泉地には、その土地の温泉を使った地サイダーも数多く発売されています。温泉に浸かったついでに、不老不死とは言わずとも、温泉地サイダーで心も身体も若返ってみるのもいいかもしれません。
【関連リンク】
地サイダーのある温泉地(ゆこゆこネット調べ)
http://www.yukoyuko.net/onsen_news/ranking/selection_120824.html