三十路寸前のザッカーバーグ その攻めの姿勢は相変わらず

フェイスブック 若き天才の野望 (5億人をつなぐソーシャルネットワークはこう生まれた)
『フェイスブック 若き天才の野望 (5億人をつなぐソーシャルネットワークはこう生まれた)』
デビッド・カークパトリック
日経BP社
1,944円(税込)
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 5月14日、あのマーク・ザッカーバーグが30歳となります。

 名門・ハーバード大学の学生だったザッカーバーグがソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の「Facebook(フェイスブック)」を始めたのは今から10年前の2月。当時19歳の彼が開発したこのサービスは、瞬く間にハーバード大学や他のアイビーリーグ校の学生を虜にしていきました。
 その後、一部の大学の学生で使われていたにすぎないフェイスブックはザッカーバーグの攻めまくりの"経営方針"のもと、凄まじいスピードで成長していき、世界中で数億人の人々が使うサービスに発展していきました。そのあたりの経緯は、デイビッド・カークパトリック著『フェイスブック 若き天才の野望』に詳しく書かれてありますので、まだ読まれていない方はお手にとってみてください。

 一方、そんな輝かしい実績とは裏腹に、ここ数年、フェイスブックの成長にもかげりが見えてきている、といった類いの声(専門家による指摘、またはメディアの報道)は数多くあります。
 また最近では、2017年までにフェイスブックのユーザーの8割がいなくなるという「予測」まで出てくるようになりました。同予測は、米プリンストン大学の研究者2名が発表したもの。疫学モデルを使いSNSユーザーの動きを分析した結果、今後、ますます世界中で"フェイスブック離れ"が加速し、2017年までの間にピーク時のユーザー数の8割が使わなくなるというのです。

 10代でサービスを開発し、20代半ばで世界的な経営者に上り詰めたザッカーバーグ。まさか30歳で御役目ごめんなんてことも?

......そんな杞憂を吹き飛ばすがごとく、ザッカーバーグはモバイル事業の強化に取り組むべく買収攻勢をかけています。

 まず2012年に、携帯端末用の画像共有アプリを手掛ける『インスタグラム』を約7億ドルで買収。今年の2月にはスマートフォン向けメッセージアプリの『ワッツアップ』を約190億ドルで買収し、さらに、その翌月の3月25日、『オクルスVR』というベンチャー企業を20億ドルで買収すると発表しています。

 三十路を前にしてザッカーバーグは相変わらず攻めまくりです。

 尚、オクルスは、ゲームや仮想現実の世界を体験できるゴーグル型装置を開発、製造しているカリフォルニア州アーバインを本拠地にしている会社。つまり、この買収は、グーグルの眼鏡型端末「グーグル・グラス」と競合することを意味します。
 ザッカーバーグは同社買収時の発表資料で「モバイルは今日のプラットホームであり、われわれは現在、将来のプラットホームの準備も整えつつある。オクルスにはこれまでで最もソーシャルなプラットホームを築く機会があり、仕事や遊び、情報伝達の仕方を変える可能性を秘めている」と述べています。

 まさにモバイルの新たな楽しみ、そして新たなソーシャルなプラットフォームが出来上がることを「予言」しているのです。

 いよいよ30代に突入するザッカーバーグ。彼の挑戦はまだまだ続きます。


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