国内初の文芸フェス 「第二回 東京国際文芸フェスティバル」は3月9日まで

 2月28日から都内各所で開催されている「東京国際文芸フェスティバル」。世界の作家や作品を紹介すると共に日本の文学や文化を世界にアピールする、日本初の国際文芸祭にはもう足を運ばれたでしょうか。

 3月3日には、紀伊國屋書店新宿本店で「アレクサンダル・ヘモン×都甲幸治」のトークイベントが開催されました。

 テーマは「我が人生・我が文学」。ヘモンさんは日本人の私達からは想像の絶する過酷な経験をされた方で、28歳の時にジャーナリストの研修の為に渡米した際、故郷であるボスニアで戦争が勃発し突然帰れなくなってしまいます。そして、アメリカに留まる事を決め、アメリカで暮らす事にした以上、数年以内に英語作家になる事を決意したそうです。そしてわずか3年でそれを成し遂げました。

 ヘモンさんの文学は、他の作家にはないものがあります。多くの作家達はどんな読者にも理解してもらおうとして、綺麗なアメリカ英語を使います。しかし、ヘモンさんはそんな綺麗な英語の概念を壊したいと、文学的ではない書き方にこだわっているそうです。

「文学はコミュニティだ」と話すヘモンさん。自身の書く本を通して何かを伝えたいわけではないといいます。一冊の本の中にコミュニティスペースがあり、それを読んだ方がそれぞれの人生や経験を自分に重ねて読み取っていく。同じ人間は一人として存在しないように、誰かと全く同じ人生も存在しないので読み取り方も個人で変わってくると話していました。
 
 そんなヘモン氏の自伝的エッセイ集のタイトルは『The Book Of My Lives』。Lives......複数形なのは何故なのか?

「私の人生は戦前と戦後で一旦途切れている。故郷ボスニアでの人生とアメリカでの人生、この二つの人生で成り立っている」

 戦争を知らない私たちには、この言葉はすごく心に刺さります。

「東京国際文芸フェスティバル」は3月9日まで開催中。期間中は様々なプログラムが予定されているので、ぜひ参加してみてはいかがでしょうか?

【関連リンク】
東京国際文芸フェスティバル
http://tokyolitfest.com/

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