我が家のテレビが東南アジアに? 知られざる廃品回収の裏側

ほんとうの環境問題
『ほんとうの環境問題』
池田 清彦,養老 孟司
新潮社
1,080円(税込)
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「リサイクルされたTVなどは、その後一体どうなっているのだろう」

早稲田大学の池田清彦教授と、書籍『バカの壁』の著者・養老孟司氏が、「環境問題の本質」を語っているのが、書籍『ほんとうの環境問題』。本書では、身近なようで実は知らないリサイクル、そして廃品回収の裏側が明かされています。

日本でテレビを捨てる場合、リサイクル法に基づき3000~5000円の回収費を支払う必要があります。これが決して安い金額ではないために、不法投棄が後をたちません。

テレビには、リサイクルさえすれば使える部品が含まれています。しかし、テレビを回収、解体、リサイクルする作業を日本で行った場合、どうしても人件費が高くついてしまいます。海外へ輸出してしまった方がコストがかからず、効率も良いことも。そのため、"まだまま使える"と判断された日本のテレビの一部は、コンテナで中国や東南アジア諸国に送られます。日本の中古テレビは人気があるので、地元の電器店では思わぬ高値がつく場合があると言います。

「普通の商売なら、売るものというのは買って仕入れる。しかし、この場合は、金を取って引き取ったものを、さらに金を取って売っている。リサイクルのための回収という名のもとに行われている一種のペテンのような商売である」(池田教授)

不要品の「無料回収」や「リサイクル」をうたう一部の廃品回収業者も、このシステムを担っているとのこと。池田教授は、悪徳業者が作り出したこの仕組みが、世界的な環境汚染の拡大につながっていると指摘します。

「電化製品にしてもパソコンにしても、最終的に厳しい規制の下にきちんとリサイクルがなされていれば、環境への負荷は少ないかもしれない。しかし、実際は、日本から持ち込まれた家電やパソコンがしばらく使った後で、中国などで解体される作業によって、有害物質が出て、結果的には環境汚染を他国に拡大させているのである」(池田教授)

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