本田圭佑 高1から「ここは俺が蹴る」と自己主張していた

高校サッカー監督術 育てる・動かす・勝利する
『高校サッカー監督術 育てる・動かす・勝利する』
元川悦子
カンゼン
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第92回全国高校サッカー選手権大会が30日、東京・国立競技場で開幕します。開幕カードは、国学院久我山(東京)vs熊本国府(熊本)。1月13日の決勝戦を目指し、48の出場校がしのぎを削ります。

出場校の一つである、星稜(石川県)は、数多くのタレントを輩出している名門校です。ザックジャパンの看板選手で、イタリアの名門・ACミランに入団したMF本田圭佑をはじめ、五輪代表にも選ばれたFW豊田陽平やDF鈴木大輔らが、河崎監督の指導を受けて、一流のサッカー選手となりました。

ガンバ大阪のジュニアユースに所属していた本田ですが、ガンバ大阪のユースチームへの昇格を果たすことができませんでした。本田の素質が、進学した星稜高校で開花したのは有名な話。今の星稜では、本田が育成における一つの指標となっています。河崎監督は「第二、第三の本田」を育成することを目標に、あの手この手を考え知恵を絞っていると、書籍『高校サッカー監督術』のなかで語っています。

本田の活躍もあり、現在の星稜高校には、県外出身者の入部希望者が殺到。その大半がJリーグのユースに上がることができず、高校サッカーに可能性を求める選手たちです。そうやって門を叩いてくきた素材を鍛え直し、再生させることが、河崎監督の役割となっています。

「サッカー選手には自分で能力を引き出せる子と、人に引き出してもらう子の2種類がいます。もともとテクニックがあるJクラブ出身者は前者が多い。でもメンタルとかフィジカルとか何か一つ足りなくて、上のカテゴリーに進めなかったんじゃないかと思うんです。石川の子は大人しくて、人に引き出してもらわないと力を出し切れない選手がたくさんいます。でもひたむきさやまじめさはすごくある。粘り強く練習にものぞめる。両者がお互いに刺激し合えれば、いい化学反応が起きるのかなと思っています」(河崎監督)

多くのJリーグのジュニアユース出身者を指導する河崎監督ならではの育成論です。

ここで、本田らしいエピソードを一つ。2009年のオランダ相手の親善試合で、当時代表のエースであった中村俊輔に「フリーキックを蹴らせてくれ」「ここは俺でしょ」と試合中に懇願し、断れたことがあります。
 
本田が、星稜高校1年生だった北信越大会決勝・富山第一戦のこと。当時キッカーを担当していた3年生がボールをセットしていたところ、本田と橋本晃司(現・水戸ホーリーホック)が「ここは俺でしょ」と、フリーキックをめぐる言い合いを始めたのだそうです。自己主張して仕事を奪い取る本田のスタイルは、高校1年生の時にすでに確立されていたのです。

今大会の星稜からは、本田を超える選手は現れるのでしょうか。星稜の初戦は1月2日の一条(奈良)戦。注目が集まります。

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