女芸人の「モテないし独身」という価値観は崩壊したのか?

女はオキテでできている―平成女図鑑
『女はオキテでできている―平成女図鑑』
深澤 真紀
春秋社
1,296円(税込)
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 いま最もブレークしている女芸人といえば、元AKB48の前田敦子のものまねで人気を博しているキンタロー。があげられるでしょう。その爆発力ある芸風ゆえに、「炎上」というかたちでブレーク。徐々に芸が認められ、今や前田本人から「公認」されるまでに至りました。

 キンタロー。の他にも、森三中をはじめ、ハリセンボン、アジアン、友近らも活躍しています。彼女たちは、昨年11月に11人組の女芸人アイドルグループ「シュガーズ」を結成。ディズニー映画『シュガー・ラッシュ』で声優に挑戦するなど、お笑いだけでなく、幅広い分野で活躍しています。

 「草食男子」の名付け親として知られる深澤真紀さんは、女芸人は「モテないし独身」という価値観は崩れつつあると、書籍『女はオキテでできている』で指摘しています。確かに、女芸人の恋愛スキャンダルや結婚は珍しいものではありません。友近や馬場園の恋愛は、ワイドショーで重宝されるネタとなっています。

 そもそも男芸人がかっこいいと憧れの対象になったり、女優と浮名を流したり結婚したりするようになったのは、ここ20~30年の話です。それまでは、男性も「しょせん芸人」として扱われていました。人気絶頂の明石家さんまが女優・大竹しのぶと結婚したのは、大きな驚きとして受け止められましたが、その後、とんねるずやダウンタウンなどが登場し、男芸人が今のような憧れの存在としての地位を確立したのです。それと同様に女芸人の土壌も整ってきたのではないでしょうか。

 「バブル期を越え、女性の人生にいろいろな選択肢が増えた結果、女性たちの憧れの対象がきれいな人だけでなく、"人を笑わせる女性もかっこいい"というところまで多様化してきたのだと思う」(深澤さん)

 現に、柳原可奈子は、小学生のころから芸人を目指していたと公言しています。女の子の夢の一つに「芸人」があげられるようになったことは、大きな変化だといえるでしょう。

 「もちろん"女が面白いことを言ったり、ケツを出したりするなんて、もってのほかだ!"と言う人の方が多いですし、きれいな女性の方がモテるのは当たり前です。しかし、女性の選択肢として、"きれい"とか"美人"とか"気が利く"などと並んで、"面白い"とか"笑わせる"ことにも、少しずつ価値がでてきたことに意味があると思うのです」(深澤さん)

 深澤さんさんが指摘をするように、「面白い」女性の価値が認められるようになれば、きっと"生きづらさ"が少しでも解消されるようになる女性も増えることでしょう。

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