「家族にしてもらったこと」を考えたことある?

お母さんにしてもらったことは何ですか?
『お母さんにしてもらったことは何ですか?』
大山真弘
サンマーク出版
1,620円(税込)
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 仕事、家族関係、友人関係など生きていく上で悩みは尽きませんが、そんな悩みや問題に新しいアプローチを投げかける本が出版されています。

 それが『お母さんにしてもらったことは何ですか?』(サンマーク出版)。その題名のごとく、これまでお母さんに「してもらったこと」「お返ししたこと」「迷惑をかけたこと」の3つを思い出し、その時のお母さんの気持ちになることで、様々な気づきをもたらすことができるのだといいます。

「お母さんに感謝しなさい」という当たり前のことをうたった本だと思われがちですが、実はこれは心理学療法の「内観(ないかん)」と呼ばれる方法のひとつ。これにより自分の中の思わぬ気づきや、問題解決の方法が思い浮かぶことがあるのだとか。

 例えば、周囲との人間関係に悩んでいる人がこの方法を試すと、どういうことが起きるのでしょうか。その人が「お母さんにしてもらったこと」として運動会のお弁当におにぎりを作ってもらったことを思い出したとします。おにぎりはとても大きくて、不格好でした。それが恥ずかしくて、お母さんに文句をいいました。このことを、著書の中で大山さんは次のように解説します。

 「第一段階として、『お母さんはどう思ったか』を考えます。きっとお母さんは、悲しかったに違いありません。申し訳なかったなあ。自分はなんて甘えていたんだろう。――そうか!あのとき自分は、お母さんに甘えたかったんだ。運動が苦手で、お母さんにいいところを見せられなかった。本当に恥ずかしいのは、そんな自分の甘えや依存心であり、劣等感だ。もしかしたら、いま周囲の人とうまくいかないのは、甘えや依存心が原因になっているのかもしれない」

 あくまでこれは単純な例ですが、このようにお母さんを「鏡」にするという方法で、自分自身の内面を見ることができるのだそうです。また、お母さんに「お返ししたこと」を考えると、「してもらったこと」に対して、そのお返しの少なさに愕然とするといいます。「迷惑をかけたこと」の問いかけでは、そのあまりの多さに顔が青くなる人も。

 大山さんはこれを「健康的な罪悪感」と説明しており、これらの問いかけをすることで、問題に関して後悔だけに終わることなく、未来につなげて考えることができるようになると話します。

 このような、お母さんだけでなくお父さんやおじいちゃん、おばあちゃん、兄弟姉妹に対する「健康的な罪悪感」、きっと誰しも思い当たるところがあるのではないでしょうか。改めて考えることで、思わぬ気づきや問題解決の一助になってくれるかもしれません。

 また、こうした「健康的な罪悪感」を呼び覚ます手助けになってくれそうな動画も最近では増えているようです。鉄拳のパラパラ漫画や家族をテーマにした、うるっときてしまうようなCMもみられるようになりました。アメリカンホーム・ダイレクトのショートフィルム「Life is...」もそのひとつかもしれません。

 動画の内容は、初めて新車を手に入れた夫婦が、車の移り変わりとともに子どもの成長、家族の移り変わり感じるという物語。描かれるのはありきたりな家族で、劇的な展開があるわけではありませんが、なぜか目が離せず、そして見ているうちにじんわりと心が温まる内容で、母親、父親、子ども、どの視点からでも、何らかの気づきをもたらしてくれる動画になっています。

 家族への気づきを深めるショートムービーを見て、あなたは誰を思い出すでしょうか。

【関連リンク】
アメリカンホーム・ダイレクト 限定ショートフィルム「Life is」
http://www.youtube.com/watch?v=FtzRiJkF1uM

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