「ママ友」は本当に「友達」? ちょっと居心地の悪い妙な日本語を分析
- 『その日本語、お粗末ですよ! (宝島社新書)』
- タカハシ マコト
- 宝島社
- 802円(税込)
- >> Amazon.co.jp
- >> HonyaClub.com
- >> エルパカBOOKS
近頃、芸能界でママタレ(子持ちでタレント活動をしている芸能人)同士の交流も多く見られ、華やかに見える「ママ友」の世界。しかし、実際にGoogleで「ママ友」と検索してみると以下のような関連キーワードが出てきました。
「ママ友/いらない」、「ママ友/疲れる」、「ママ友/トラブル」、「ママ友/付き合い方」
どれもネガティブなキーワードばかり。東京都内の小学校で保護者間のトラブル防止のため「ママ友禁止令」が出されたことが話題になるなど、「ママ友」の世界はなかなか壮絶なようです。
ここで疑問が生じるのは、「ママ友は『友』なのか?」ということ。もしかしたら、友達だと思うから変に期待して裏切られた気分になるのでは? そもそも、ママ友の共通点は「子どもが同い年で近所に住んでいる」ことくらい。友達なのは子ども同士であって、気の合わないママ友と無理に友達になる必要はないのではないでしょうか。
他にも「オンリーワン」、「勝ち組/負け組」などよく会話の中に登場する多くの言葉は、「みんな使っているから」という理由だけで使用されている場合が多く、その言葉の定義や本質を考えたことがある人はほとんどいないかもしれません。
博報堂のコピーライターでカンヌ国際広告祭PR部門銀賞を受賞したタカハシマコトさんは著書『その日本語、お粗末ですよ!』のなかで、そのような言葉を「貧しい言葉」と呼び、さらにはそれらが「コミュニケーションを邪魔している」と指摘します。
確かに、「若者の言葉の乱れ」が問題になっている世の中ではありますが、文法の間違いよりも、言葉そのものの本質を間違ってとらえてしまい、伝えたいことが相手にちゃんと届いていないことの方が大きな問題に思えます。
そうならないために、タカハシさんは本書で「マスメディアやニュースの言葉も文字通り受け取るのではなく、いったん考えてみる」という方法をおすすめしています。
例えば、「波紋を呼んでいる」「いじめ」など、本質を見えなくする言葉には要注意。そのまま読み飛ばしてしまわずに、「『波紋』は本当に広がっているのか?」、「その事件は『いじめ』と呼ぶ方が実態に近いのか?」など、言葉に対して敏感になる必要があります。
「新聞やニュースで気になったり違和感を覚えた言葉は、検索してみるのも一手です。ネットに書かれていることのひとつひとつはある一面に過ぎませんが、検索した言葉を入り口に、複数の視点で知りたかったことが見えてくるはずです」とタカハシさん。
本書では、そのような「貧しい言葉」をタカハシさんがひとつひとつ分析しており、コミュニケーションについて考えるきっかけになるはず。広告やメディアなど言葉をつくり出す人はもちろん、ビジネスの場でもっと機能する言葉を身につけたいと思うビジネスパーソンにはおすすめです。