書籍『悪人』と同じ著者? 吉田修一氏が毛色の違った作品に挑戦
- 『太陽は動かない』
- 吉田 修一
- 幻冬舎
- 1,728円(税込)
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これが本当に吉田修一氏の作品?
書籍『悪人』『パレード』『平成猿蟹合戦図』と、どちらかと言うと人の心の動きを丁寧に描いてきた吉田氏が、スケールの大きなノンストップ・アクション超大作『太陽は動かない』を発表しました。今回はハリウッド映画かと思うような派手な爆破や、緊張感あふれる諜報活動のシーンが次々と登場します。
主人公の鷹野一彦は、いち早く機密情報を手に入れて高値で売り飛ばす「産業スパイ」の一人。商売敵のデイビット・キムや謎の美女AYAKOと情報戦を繰り広げるなか、新油田開発の利権争いで射殺事件が起こります。その背後関係を探っていたところ、今度は行動を共にしていた部下・田岡が何者かに拉致されてしまうのです。
ホーチミン、上海、内モンゴル自治区、東京などアジアの街で繰り広げられる、水面下での駆け引き。謀略、誘惑、疑念、野心、裏切り、そしてタイムリミットが次々と訪れる展開は、まるで映画さながら。
「これまでの作品では、登場人物の心の動きを追って、そこから物語が生まれていきましたが、今回はストーリーを動かすことに意識を集中しました。そういう 意味では、今までとはまったく違う書き方をした作品になりました。人物の捉え方も、肉体とその動きのみ。そこには、〝生きる〟ということを頭で考えるのも もどかしいほど、必死に生きる人々を描きたいという欲求がありました」
これまでになかった作品世界を語る吉田氏。デビュー15周年に発表した同書は、これまでとは全く毛色の違った世界に導いてくれます。