60歳はまだ若い? 年寄り扱いを煙たがる「アラ還」たち

三匹のおっさん ふたたび
『三匹のおっさん ふたたび』
有川 浩
文藝春秋
1,728円(税込)
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 坂本龍一、さだまさし、水谷豊、夏木マリ...、超がつくほどのベテランで、未だに最前線で活躍する彼らの共通点は、今年、還暦を迎えること。あまりに元気な姿が印象的なため、誰も還暦だとは思えません。

 還暦とは、干支(十干十二支)が一巡し、起算点となった年の干支に戻ること。生まれた時に帰るという意味で、ちゃんちゃんこなどを贈るといった習慣がありますが、皆、その姿が想像もできない程にパワフルです。

 「赤いちゃんちゃんこなど要らん」

 そう語気を荒げるのは、有川浩氏の書籍『三匹のおっさん』に登場する還暦の主人公・清一です。還暦の赤い三点セットは、自他共に認める「おじいちゃんおばあちゃん」が身に付けるもので、まだ髪も黒く、禿げる質でもなく、長年剣道をやっていたおかげで足腰もしゃんとしていて、姿勢などは若い者よりずっときれいなくらいだと思っている清一は、おじいちゃん扱いに納得がいっていませんでした。

 定年になってもまだ有り余るエネルギーの矛先は、かつての悪ガキ2人を集めて結成した自警団に向けられました。1人は柔道家で居酒屋の元亭主であるシゲ。そしてもう1人は、機械をいじらせたら無敵の頭脳派、工場経営者のノリです。清一も剣道の達人として相当な腕を持っています。町に繰り出した3人は、様々な事件に遭遇。人気シリーズの第2弾『三匹のおっさん ふたたび』では、書店万引き、不法投棄、お祭りの資金繰りなど、身近な地域の問題に立ち向かい、次々と解決していきます。

 清一ではないですが、いまの時代、60歳といってもまだまだ若いのかもしれません。一昔前の還暦のメージとは随分と違います。とはいえ、過去にはジャイアント馬場やラッシャー木村が「還暦記念試合」を行なっていますし、「60歳=おじいちゃんおばあちゃん」というのは、いつの時代も早計なのかもしれません。

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