元アマチュア・ウインドサーファー作家の伊東潤、直木賞で天下統一なるか!?直木賞候補作『城を嚙ませた男』

城を噛ませた男
『城を噛ませた男』
伊東 潤
光文社
1,836円(税込)
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 第146回直木三十五賞の候補作となった、歴史小説『城を嚙ませた男』。著者は、『黒南風の海』で「本屋が選ぶ時代小説大賞2011」を受賞した伊東潤氏です。

 新時代の歴史小説作家として注目される著者ですが、非常に変わった経歴の持ち主でもあります。実は、アマチュア・ウインドサーファーとしてソウル五輪国内予選に参加し、8位に入賞した過去があるのです。

 そんな風変わりな過去を持つ著者の作品『城を嚙ませた男』は、戦国時代を舞台にした本格歴史小説。織田信長、豊臣秀吉、徳川家康が天下統一を目指す裏側で、必死に命を賭ける人々が主役となっています。

 家を滅亡させないために、巨大勢力には、敵味方関係なく土下座をし続けるという方法で生き延びる佐野家。その先にある佐野家の結末までを描く「見えすぎた物見」。落城確実の状況で鯨取りの親方・丹波が考えた驚くべき反撃方法を描いた「鯨のくる城」。希代の謀略家、真田昌幸とその策略に溺れる、野心に蝕まれた一人の男の物語を展開する、カバータイトル「城を嚙ませた男」。他「椿の咲く寺」「江雪左文字」を含む、全5話の短編からなる同作は、全て"戦い"を軸に展開しています。

 5話全てが"戦い"と言っても、戦い方、そこに懸ける想い、守りたいものはそれぞれ異なります。ただ、不思議とストーリーのどれを取っても、切なさと驚き、そして爽快感が入り混じっているのです。ここに隠されたテーマを考えながら読むのも、楽しみ方の一つかもしれません。

 「相手がベストセラー作家だろうが、「~賞」という勲章をいくら持っていようが、直木賞の候補に何度もなっていようが、お構いなし(笑)。合言葉は下剋上――。新年早々、草莽作家の熱き戦いをお見せします!」と自身のブログで語る著者は、正に戦国の武将。

 直木賞という大きな舞台で、どのような戦い方を見せてくれるのか楽しみです。

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