「世のため消費」や「ソーシャルメディア利用者の拡大」、3.11が消費者にもたらしたもの
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3月11日に私たちを襲った東日本大震災。多くの方を亡くしただけではなく、製造業を支えてきたサプライチェーン(供給源)が寸断され、日本経済のもろさを露呈することになってしまいました。その反面、大きな暴動やパニックが起こらなかったことで、海外から日本人気質を賞賛されたりもしました。そんな2011年が、あと1か月で終わろうとしています。
「3.11」は消費者に何をもたらしたのでしょう──
この問題について、日経MJ(流通新聞)の三宅耕二氏は、2つの特長があるといいます。
1つは、「世のため」「親しい人のため」消費の顕在化。「世のため」消費とは、エシカル(倫理的)消費と呼ばれていたもので、ある商品を購入するとその代金の一部が、発展途上国の井戸作りなどに回るといったキャンペーンに賛同し、積極的に購入することです。今回の震災では、節電への取り組みや、東北の産品の購入、ボランティアツアーへの参加などがそれにあたります。「震災によってエシカル消費が幅広い世代に広がり、一気に顕在化した」と三宅氏は分析します。「親しい人のため」消費は、家族や親しい人との絆の大切さに気づいて発生したもの。例えば、結婚指輪の購入や家族旅行といったものです。これらも震災後は増加傾向となっています。
「ソーシャルメディアの利用者の急拡大」も震災がもたらしたと、三宅氏。TwitterやFacebookは、生活者同士をつなぎ「集合知」を生み出したのです。
「1人ひとりの知見を持ち寄って、新たな問題解決策を仮想空間で探る動きが、あるときはネット世論をも生み出します。幅広い人がソーシャルメディアを利用することになったことで、消費者のまとまった声が供給者や販売側にダイレクトに伝わるようになりました」(三宅氏)。現在、ガラケーなどに比べて、TwitterやFacebookが利用しやすいスマホが普及しているのも、こういった理由からかもしれません。
「世のため」「親しい人のため」消費の顕在化と「ソーシャルメディアの利用者の急拡大」。大打撃を受けた日本経済でしたが、消費者にもたらしたものはネガティブなものばかりではありません。また、「世のため」消費など、企業側がこのような傾向をつかんだうえでサービスを展開していけば、世界はより良いものになるのではないでしょうか。