殺人者はすべて"悪人"なのか? 既成概念を破るベストセラー『悪人』
- 『悪人』
- 吉田 修一
- 朝日新聞社
- 1,944円(税込)
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第35回モントリオール世界映画祭で、映画『わが母の記』が審査員特別グランプリ、『アントキ ノイノチ』がイノベーションアワードを受賞しました。
同映画祭では、日本の映画が4年連続で賞を受賞しています。2008年に映画『おくりびと』がグランプリに輝くと『誰も守ってくれない』も脚本賞受賞。09年には『ヴィヨンの妻 ~桜桃とタンポポ~』が監督賞。そして、10年には、『悪人』で深津絵里が主演女優賞に選ばれました。
なかでも『悪人』は、作品への評価だけではなく、深津絵里の演技が評価されたことで、大きな話題となりました。同作品は、深津絵里のほか、妻夫木聡、岡田将生、満島ひかり、樹木希林、柄本明など、幅位広い年齢のキャストが集結し、監督は「フラガール」の李相日監督が務めました。また、原作となったのは、朝日新聞で連載され後にベストセラーとなった、芥川賞作家・吉田修一の同名小説です。
──九州地方に珍しく雪が降った夜、土木作業員の青年・祐一は、かつて出会い系サイトで知り合った福岡の保険外交員・佳乃と再会するが、言い争いになった結果、彼女を殺害してしまう。そんな時、やはり出会い系サイトを通じて知り合った佐賀の独身女性・光代からメールが。初めて面会した2人は、次第に心を許し合い男女の関係になるが、祐一から「殺人」を告白される。自首しようとする祐一を止め、一緒にいたいと強く願う光代。彼女を駆り立てるものとは何か?
一つの殺人事件と、殺された家族、そして男と女。様々な視点から事件の真相が明らかになっていくにつれわかる「誰が本当の"悪人"なのか」。その謎が解き明かされる時、物語はクライマックスへと向かいます。