きっかけは秋葉原無差別殺傷事件、さだまさしの小説『アントキノイノチ』

アントキノイノチ
『アントキノイノチ』
さだ まさし
幻冬舎
1,440円(税込)
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 第35回モントリオール世界映画祭のワールド・コンペティション部門に出品された『アントキノイノチ』。そして、その年の映画祭で最もインパクトを与え、革新的で質の高い作品に与えられる賞・イノベーションアワードを受賞したというニュースが、先日届きました。

 岡田将生、榮倉奈々が主演の同映画は、11月19日(土)から公開されます。監督は、前作『ヘヴンズ ストーリー』で第61回ベルリン国際映画祭国際批評家連盟賞などを受賞した瀬々敬久監督。授賞式では喜びのあまり、アントニオ猪木にかけて、「元気ですかー!!」と叫んだとか。

 原作は、さだまさしの同名小説です。執筆のきっかけは、当時25歳の男が、秋葉原で7人を殺した無差別殺傷事件(2008年6月)。現実とインターネットの世界を行き来し、バランスを失いつつある若者をみて、社会のしくみに疑問を感じたといいます。


 ──主人公である杏平は、同級生の「悪意」をきっかけに、二度、その男を殺しかけて高校を中退してしまいます。それ以来、他人とうまく関われなくなってしまいました。父の紹介で遺品整理会社の見習いとなった杏平は、目を背けたくなるような現場でも、亡くなった人やその家族のために誠実に汗を流す先輩を見て、心がほぐれていきます。また、同い年で明るい性格のゆきちゃんと過ごすことで、人との関わりを取り戻しつつありました。しかし、ある日ゆきちゃんの壮絶な過去を知ることになり......。

 遺品整理の仕事とゆきちゃんの過去。「命」の意味を問い、「生」と「死」について考える感動長篇です。

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