「給料が安過ぎてご祝儀が払えない」-招待された結婚式を欠席してもよい?

冠婚葬祭でモメる100の理由 (文春新書)
『冠婚葬祭でモメる100の理由 (文春新書)』
島田 裕巳
文藝春秋
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 結婚式に招待された契約社員として働く30代の男性の悩みです。

 「不況で年を取るごとに収入が減っていくのに、年齢があがるにつれてご祝儀の金額、機会が増えていく。一万円~三万円という現在の相場はもっと安くならないか。どうしてもご祝儀が払えない場合は欠席するべきか」と頭をかかえています。

 世間の「相場」で額が決まる、ご祝儀というのは、よく考えると不思議な気もします。世間で一般的に語られていることと、自分や相手の判断基準が合致していれば問題ないのですが、そうでない場合、いったいどうすればいいのか。「冠婚葬祭はとても厄介なことです」と前置きをしたうえで、宗教学者の島田裕巳氏はこう言います。著書『冠婚葬祭でモメる100の理由』のなかで、「冠婚葬祭をうまく乗り切っていくためには、私たち自身、賢さを求められます。それぞれのしきたりはどういった形ではじまり、どんな役割を果たしているのか。それを見定めることは是非とも必要です」。

 島田氏は、「結婚式が豪華なものになってきて費用がかかるようになり、それを参列者が半分程度は負担する構造になっている」と指摘。そして、現在は披露宴ではなく二次会に友人たちを呼ぶというスタイルが増えていると言い、これは日本経済の影響だと話します。「さらにデフレが続けば、結婚式もいっそうの簡略化が進み、ご祝儀の負担も少なっていくかもしれません」とも。

 右肩上がりの時代が終焉を迎えている現在、結婚式のスタイルは変わっていくことでしょう。氏は相談者に「ご祝儀を払うことが経済的に難しいなら、無理をする必要はありません」、「欠席する場合に、正直に事情を打ち明ける必要もありません」と回答。お互いの事情を察しながら、さりげない気配りで問題が起こらないようにする「大人としての知恵」をすすめています。

 東日本大震災後、結婚式に関して確実に変化は現れていたようです。世間の自粛ムードのなかで、派手な結婚式を挙げる気持ちになれなかったカップルも多く、『Pridal』という新しいブライダルサービスは、震災前後で問い合わせ件数が倍増したと言います。それは、「婚礼衣装での写真撮影」と「身内だけでのお食事会」をひとつにした"フォトブライダル"のこと。今までは、東京、横浜にある有名ホテルでの提供でしたが、7月6日からは関西で初めて、大阪の老舗結婚式場『太閤園』でPridalが挙げられるようになりました。

 たとえば、一次会は親族など親しい人たちだけのPridal、二次会は会費制のにぎやかなパーティに。こうすれば、招待する側もされる側も、楽しく思い出深い時が過ごせるのかもしれません。


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