第10回 『インサイド・ヘッド』リュウスケ・ヴィルマン氏 インタビュー
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映画情報連載「続・鴇田崇の映画でいっぱいいっぱい!」10回目は、この夏大ヒットした『インサイド・ヘッド』を手がけた日本人スタッフの、リュウスケ・ヴィルマン氏にインタビュー。映画の中の照明や質感を出すソフトウェアの開発を担当した氏に、大感動のピクサー作品が生まれるまでの過程についていくつか質問! 公開時、「『トイ・ストーリー』(95)以上に泣けた!」との声まで出たという感動大作の今作は、技術者たちの努力の結晶で誕生していた。これを読めば、『インサイド・ヘッド MovieNEX』をもっと楽しめるかも!?
──ピクサーではキャラクターの質感を出すなどのソフトの開発がご担当だそうですね?
そうですね。ピクサーではソフトを使って仕上げることが多いですが、たとえばムカムカのヘアーも一本一本あるわけでなく、粒子が動いているだけです。遠くで観るとヘアーに見えるようになっている。"レベル・オブ・ディテール"と言いますが、近くで観た時と引いて観た時の見え方をどう変えるかが重要。それをちゃんとやらないと、引いた時にただチラつく物体でしかないんですよ。そうならないように、いろいろと工夫する感じですね。
──広く意見を集めるピクサーのなかで今回、具体的に意見を言うことはありましたか?
僕の場合、裏方になるので、皆がやりたい要望をどうにか作ってあげるということですね。たとえば、真っ黄色のヨロコビ。最初にヨロコビのアートカラー、一枚の絵が届いて。頭の中のコントロールルームがあると思いますが、手前からは赤い光を受けて、後ろからは紫のハイライトが入っていますが、普通に計算をすると紫には絶対ならないんですよ(笑)。
──なるほど、色の場合、制約があるわけですよね。その理屈を変える必要が出てしまった。
もともとが黄色いじゃないですか。コンピューターはRGBで計算するので、極端にRやGが強いとなると、青い色が出せなくなるんです。第一、もとの色に青の成分がないと、青いライトを当てたところで青色にはならない。でも、アートの担当者は色の理屈を考えずに描いていくので、そのイメージをどうやって実現するか、再現するかが大変になります。
──もともと無理なことを可能にするって考えてみれば発明に近いものがありますね(笑)。
そうですね(笑)。ただ、それが、ピクサーの"ルック"になることは皆わかっていて、ただ単に理屈に従って、現実のノウハウで再現しただけでは、普通のフォトリアルになるだけなんですよね。でも、ピクサーの映像はそうではない。フォトリアルな細かい光の反射などもありつつ、リアルよりも一歩突っ込んだ感覚の表現をしたくて、皆で作っています。
──最後になりますが、友だちがいない場合は、この作品をどう楽しめばいいでしょうか?
(笑)! 頭のなかの感情を意識して、こんなカンジになっているのかな? と想像しながら観ればいいことがある、かも!? たとえば鑑賞後、もっとアンガーを出して行こうとか、感情を出して行くことを心がけてもいいと思います。メッセージとして感情は平等でいこうというテーマもあるので、感じたままで人生を送っていただければと思います(笑)。
(写真・文/鴇田崇)
<STORY>
11才の少女ライリーの幸せを守る、頭の中の"5つの感情たち"──ヨロコビ、イカリ、ムカムカ、ビビリ、そしてカナシミ。突然の引っ越しでライリーの心は不安定になり、頭の中のヨロコビとカナシミが行方不明になってしまう。心を閉ざしたライリーを、感情たちは救えるのか? そしてカナシミに隠された、驚くべき<秘密>とは......?この夏、無限に広がる頭の中を舞台に、感動の冒険ファンタジーが誕生。これは、あなたの物語です。
●商品名: 『インサイド・ヘッド MovieNEX』
●価格: 4,000円+税
●発売日表記: MovieNEX好評発売中! デジタル配信中!
●コピーライト: (C) 2015 Disney/Pixar
●公式サイト: disney.jp/head