連載
続・鴇田崇の映画でいっぱいいっぱい!

第6回 『サムライフ』森谷雄監督インタビュー

『サムライフ』の森谷雄監督にインタビュー!(文・写真/鴇田崇)

連載「続・鴇田崇の映画でいっぱいいっぱい!」6回目は、三浦貴大主演『サムライフ』を監督した森谷雄氏へのインタビュー。実は森谷監督、『サムライフ』が初監督で、それまでプロデューサとして『シムソンズ』や『しあわせのパン』『コドモ警察』などの有名ヒット作品を手がけた敏腕P! どうして今回、自分でメガホンを握ることに!? 『サムライフ』に込めたメッセージの背景には!? 熱い想いを抱く森谷監督に感動作について尋ねたよ!


――この『サムライフ』、映画化へ向けて尽力されたそうですが、一番の理由は何でしたか?
 
ブルーレイ、DVDのブックレットにも書きましたけど、僕も教師を目指していたんですよ。だけど、映画のほうが好きになっちゃって、いまは映画の仕事をしていますが(笑)、たぶんこの仕事をしていなかったら、どっかの学校の先生になっていたかもしれないなって思いますね。でも、この長岡先生みたいなことは、俺には無理だなって、思わされた。こんな人がいるんだから、この人がやったこと、この人が目指していること、実際に造った学校とか、コンセプトとか、そういったものをより多くの人に知ってもらおうという想いが映画化のきっかけです。

――そして自分でメガホンを取った。初監督とは思えないほどメッセージが伝わりました。
 
ある意味、ミニマムなバジェットですけど、長野県上田市のフィルムコミッションさんの協力もあって、そのバジェットではなしえない映画作りを実現させてくれて、それで本当に撮影することにいたったわけですけどね。

――ナガオカ役三浦貴大さんが好印象でした。若い頃の長岡先生と比べていかがですか?
 
彼を発見した後に、長岡先生の奥さんを取材しました。長岡先生の奥さんのエピソードを映画では描いていますが、原作では一切描かれてないんですよ。で、奥様を取材しに行った時に、長岡先生のダイニングテーブルの横に結婚式の写真が飾ってあって、長岡先生の若いころと三浦君がそっくりだった。これは! と思いましたね(笑)。

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森谷雄監督

――ところで映画監督の仕事はいかがでしたか? 今後撮りたい題材などはありますか?
 
僕はもう、生涯であと2本しか映画を撮らないと決めています。実は今回も最初で最後のつもりで入りましたが、監督業って麻薬ですね(笑)。やりたくなっちゃうんですね。ただ、あと2本かな。題材としては、音楽に関する映画と母に関する映画です。

――後2本は年齢的にも少ないですよね(笑)。どうして2本と決めちゃっているのですか?
 
2本と決めている理由は、3という数字が好きなのと、イギリスのリチャード・カーティスという監督が好きで、その方もプロデューサ業と脚本家をやっていたけれど、『ラブ・アクチュアリー』(03)で監督をやって、この間の3作目『アバウト・タイム~愛おしい時間について~』(13)という映画で、自分の中で監督業を打ち止めたわけですよ。まだ50代半ばくらいかな。カーティスがそうしたので、オレも3本でいいやと(笑)。求められれば短編とかあるかもしれないですけど、映画ってテーマが大事だと思っていて、何でもいいわけじゃない。

――主人公のナガオカは熱い若者ですが、森谷監督のパッションも熱いものがあります!
 
本のタイトル「サムライフ」は、侍の学園、侍のイキザマみたいなことで付けたとおっしゃっていましたが、坂本竜馬とか、活躍したのが20代とかなわけですよ。じゃ、いまの20代がそういう生きかたをできるかと言えばそうじゃないですよね。若い子たちにもこういう生きかたをしてる人、そういう風に生きる力を次の若い人たちに持ってもらおうと頑張る先生の話を観てもらって、ちょっと勇気がわいてくれればと思いました。


<STORY>
27歳、元高校教師。貯金は725円。自らの半身不随と恩師の死、そして周囲の反対を乗り越えて、ナガオカは教師になった。そして5年後、長年の夢「学校をつくること」を叶えるために高校教師を辞め、学校設立のための資金集めを始める。最初の目標は、資金725円からのショットバーの開業。頼れるのは自分の力しかない。そんなナガオカの噂を聞きつけ、彼の下に集ったのは、元教え子の4人の若者。働きながらも、自分を発揮できないケンジとユミ、大学受験に失敗したタカシ、そして、旅をしながら自分の居場所を探し続けるダイスケ。ナガオカが作ったショットバーは社会をさまよっていた4人の若者の居場所となり、4人がいる場所はまた、ナガオカの居場所にもなっていたが......。

『サムライフ』 発売中

【ブルーレイ】⇒ ¥5,000+税
【DVD】⇒ ¥4,000+税
【特典映像】(予定)
●未公開シーン●メイキング●舞台挨拶
【封入特典】(予定)
ブックレット

発売元:アットムービー 販売元:ポニーキャニオン
© 2015 「サムライフ」製作委員会
http://samulife.ponycanyon.co.jp/

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鴇田崇(ときた・たかし)

1974年生。国内最大級のアクセスを誇る総合映画情報サイト「映画生活(現:ぴあ映画生活)」の初代編集長を経て、現在はフリー。年間延べ250人ほどの来日ゲスト、俳優、監督への取材を行い、雑談のような語り口で相手のホンネを引き出すスタイルは、一部の関係者に定評がある。史上もっともアガッたインタビューは、あのM・ナイト・シャマラン監督に「キミの体からは気が出ている!」とホメられたこと。主な出演作として故・水野晴郎氏がライフワークとしていた反戦娯楽作『シベリア超特急5』(05)(本人役、“大滝功”名義でクレジット)、『トランスフォーマー/リベンジ』(09)(特典映像「ベイさんとの1日」)などがある。

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