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プロレス×映画

よくある師弟抗争かと思いきや"小悪魔ディーバ"的な美女が全てを持っていく名作コメディ『ペテン師とサギ師/だまされてリビエラ』

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 師弟関係の男二人が女性を巡ってバトル! という響きだけで何だかプロレス抗争っぽい作品が『ペテン師とサギ師/だまされてリビエラ』(1988)。

 アメリカの名コメディ俳優スティーヴ・マーティンとイギリスの名優マイケル・ケインによるコン・ゲーム(騙し合い)モノで、監督は『リトルショップ・オブ・ホラーズ』などマーティン御大主演作多数でコンビを組むフランク・オズ(『スターウォーズ』のヨーダ役など声優でも有名)。
 60年代の佳作『寝室ものがたり』のリメイク作品ですが、本作ベースでミュージカル劇が生まれるなど、名作コメディとして知られています。

 しがない詐欺師フレディ(マーティン)は、セレブ婦人をカモにする詐欺師集団のリーダーである中年紳士ローレンス(ケイン)に弟子入り。ローレンス側は、フレディが商売敵の詐欺師"ジャッカル"だと疑い、監視目的で弟子に迎え入れる。
 ところが功名心に逸るフレディは勝手に独り立ち。ローレンスは目障りなフレディを街から追い出すため、標的から5万ドルを奪えなかった方が街を去るという条件で詐欺バトルを提案し、世間知らずなセレブ美女ジャネットが標的に選ばれるのだが......

 フレディが車いすの傷痍軍人を装って標的美女に取り入れば、ローレンスは医師を騙りフレディの治療を引き受け、美女から金を引き出そうとする流れ。計算された騙し技を駆使する老練なローレンスに対し、泣き落とし作戦など力技に出るフレディのコントラストが気持ち良いのです。

 標的の美女に奪う資産がないことが判明して勝敗の条件が変わったあとは、フレディが盛り返すんですが......能ある鷹は爪を隠すというか綺麗な花には刺がある的なオチまで軽妙に展開され、110分はあっという間。

 ベテランに弟子入りした若手が恩を仇で返す形で抗争に至るのは、プロレス界でもよくみるネタ。加えて、実は彼らよりずっと上手だった標的美女は、近年WWEでいえば、ヴィンス会長やトリプルHを手玉に取ったトリッシュ・ストラタスや、次から次に売れ線スターの彼氏を取っ替え引っ替えしてディーバのトップに立ったAJ・リーのような"小悪魔ディーバ"的。

 また、ローレンスが巧みに訛り(ドイツ訛り英語など)を使い分ける辺りも、"ギミックチェンジで以前と違う口調になるレスラー"的で面白いところ。特に、ベタなオチで終わるかと思いきや、そう来たか!と唸らされるエンディングシーンにおける「訛り」は思わずニヤリとさせられます。

 大笑いするようなシーンはありませんが、80年代のユルい空気感にクスクスと笑ってしまう良質なコメディなので、本コラムでは珍しく本心からオススメしたい作品となっております。

(文/シングウヤスアキ)

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シングウヤスアキ

会長本人が試合までしちゃうという、本気でバカをやるWWEに魅せられて早十数年。現在「J SPORTS WWE NAVI」ブログ記事を担当中。映画はB級が好物。心の名作はチャック・ノリスの『デルタ・フォース』!

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