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プロレス×映画

塩レスラーを愛でる感覚で観ると傑作に思えてくる超絶珍作『47RONIN』

47RONIN [DVD]
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 各国で話題になった作品のリメイク権を買い漁ってはみるも無残な珍作を量産するハリウッド映画界ですが、日本の年末の風物詩「忠臣蔵」も餌食になっているのはご存知でしょうか。

 その「忠臣蔵」をベースにした『47RONIN』(2013)は、キアヌ・リーヴス主演で、真田広之、菊地凛子に加え、浅野忠信、柴崎コウ、赤西仁など日本人俳優も起用......したにも関わらず、「これのどこが日本やねん!このオタンコナス!」と憤怒したくなるような超絶珍作なのです!

 公開前から漏れ伝わる情報や予告編から"見えている地雷"扱いされていた本作。
 主人公が架空の人物で白人なのは『ラスト・サムライ』という前例があるので我慢出来ますが、とにかくヒドイのが衣装・演出関係。

 着物はともかく、鎧兜は中国や東アジアの様式が目につき、コレジャナイ風味がひと目で見て取れるハズ(作風的に『レッドクリフ』に影響されちゃった感アリ)。

 さらにアジアを舞台にした『300』を目指したのか、開始5分でヘンテコな巨大生物が暴れだし、それを『もののけ姫』のアシタカよろしくキアヌさんが華麗に仕留めるという謎展開が炸裂。他にも菊地凛子演じる女幻術師が白狐に化けたりと、ファンタジーモノのノリなんですね。
 殺陣にしても時代劇のそれではないので、スーパートンデモアジアン武侠といった感じ。無駄なCGIの頑張り方のせいか、個人的には至高の珍作『エアベンダー』を思い出しちゃったけど。

 米プロレス界における日系ギミックも、例え生粋の日本人選手がやっていてもアメリカ人観客に合わせた"ファンタジー"と割り切って観る必要があります。
 しかし、本作の場合は割り切るというより、もはや日本が舞台であるという認識を完全に放棄しないと、その強烈な違和感には馴染めないかも。

 ここまでトンデモな味付けでストーリーが無事なハズもなし!
 「松之大廊下での刃傷沙汰」のシーンが、幻術に操られた浅野内匠頭が吉良上野介の寝床を襲う形となり、内匠頭切腹後は吉良が浅野家の姫(架空)を嫁に取る、という臭いストーリーに変貌。
 挙句に主人公が島送りにされた場所として、原作にまったく関係のない長崎の出島が出てくる上、オランダ人は海賊扱い!

 闘技大会で闘うキアヌさんを真田広之演じる大石内蔵助が単独で救出するという謎すぎる展開にバカ負けし、これ面白いかも、と思ってしまったら、貴方も立派な珍作愛好家。
 尚、筆者は主人公が謎のクリーチャー和尚と対話し、特別な刀を手に入れる試練のシーンで完全に白旗を上げました。このシーンは本当にスゴイです。珍作的な意味で。

 「ヒドイなぁ」とニヤつきながら楽しむ感覚は、プロレスが下手なソルティな選手の大味で脈絡のないぶつ切り感溢れる試合運びに味わいを感じてしまう感覚と似ているかもしれません。
 まぁ、そうはいっても珍作度は今まで当コラムで紹介した作品の中でもトップ5に入るんですけどね!

(文/シングウヤスアキ)

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シングウヤスアキ

会長本人が試合までしちゃうという、本気でバカをやるWWEに魅せられて早十数年。現在「J SPORTS WWE NAVI」ブログ記事を担当中。映画はB級が好物。心の名作はチャック・ノリスの『デルタ・フォース』!

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