「先輩棋士に追いつき、追い越す勢いを」田中佑樹初段へ師匠がエール

左/釼持丈八段、右/田中佑樹初段 撮影:小松士郎
新入段した棋士を師匠が紹介する連載「師匠が見た!NEWフェイス」。今月号は、釼持丈(けんもち・じょう)八段が、田中佑樹(たなか・ゆうき)初段について語ります。

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昨冬のプロ試験では、ダークホース的な立場でした。この位置から入段するのは厳しい、というふうに見ていたところは正直ありました。
ただ、入段する直前に院生順位が上がり、実力と勢いが増してきた雰囲気でした。それが、プロ試験での好調につながったように思えます。
きっかけは何かあったのかと思っていたら、どうも環境や勉強方法を変えてみたようです。最近は年齢、棋力が近しい子とひたすら対局することが多かったようで、それがいい刺激になったのではないかな。
10歳の時に院生になってから、熱心に勉強していたのをずっと見てきました。詰碁を作るのが好きで、僕ら院生師範に見せにきて。答えがない失題の時もあったけれども(笑)。その頃から、一生懸命さはあった。
停滞する時期もありました。ただ、その時々でライバルができると上にあがれる。田中君には、そういう環境が必要なのかもしれませんね。
田中君は読みがしっかりしていて地力があり、大成する可能性がある。ただ、しっかり勝ち切る力が弱い。ここぞという時は顔つきが違うけど、練習の時は集中力に欠けることもあり、ムラがある。このあたりが安定するといいですね。先輩棋士に追いつき、追い越す勢いを期待します。
■『NHK囲碁講座』2021年8月号より

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