脱・悪手の総仕上げ 石の強弱を意識しよう

白石勇一(しらいし・ゆういち)七段が、悪手を“病気”に見立てて、“処方箋”(解決策)を伝授してくれる別冊付録「白石勇一の棋譜クリニック〜あなたの悪手、なおします!〜」もついに最終回。復習問題で、これまでに取り組んできたことの総仕上げをしましょう。

* * *


■【今月の処方箋】さらに上を、ともに目指しましょう!

初めにお断りを。宣言したダイエットですが、延長戦をお願いします(笑)。5キロほど絞ったのですが、これは目標の4分の1程度なので。どこかで見かけてすっかりスマートになっていたら、ぜひ声をかけてください。もしそうでなかったら、そっとしておいてください…。お願いします。
最終回を迎えるにあたって、全11回をじっくり振り返ってみました。テーマは九つ。継続は力なりと言いますが、改めて実感しました。私も、やればできるんだなあと(笑)。
効果はいかがでしょう。実戦で役立っていますか? 多くの方が、まだ確かな手応えを感じられないでいると思います。それはそうです。九つのテーマをすべて完璧にマスターしたら高段者、いえ、県代表クラスになってしまいます(笑)。
そこで提案。日替わりで一つのテーマに取り組むのはどうでしょう。今日は「厚みを囲いたい」病に気を付けるとか、明日は「攻めの方向音痴」にならないようにしようとか。いつも完璧を目指す必要はありません。碁を楽しむのを何よりも最優先してほしいですからね。
ただ、基本は「石の強弱」です。ここだけは意識しておいてください。上達にはもちろん、碁を楽しむためにも欠かせない要素です。
もう一つ、「ダメ」について。勝敗は「ダメをどのくらい打ったか」で決まります。「ダメ」とは、ほとんど地にならない手のこと。ダメを打たないですむ手段を探すのも楽しみ方の一つでしょう。
嗚呼、あと2行…。名残惜しいですが、このへんで。またどこかでお会いしたいですね!

■復習問題1

経過観察(1〜35)
五子局。左上の定石のあと、白17に黒18、20と補強したのはいい判断でした。黒18を省くと左上黒は攻められる可能性が。黒20となってようやく厚みと言えます。黒24は一路下への打ち込みをなくしてもったいない! 
◎出題図(1〜16) 右辺に入ってきた白をどう攻めるか。左上から中央へかけての厚みを働かせたい局面です。まずは以下の手順をしっかり確認してください。どんな感想を持つでしょうか。白16まで、白が大威張りの生きです。なぜこんなことに…。

Bad × 1図「厚みを囲いたい」病の典型
黒1、3(出題図黒1、3)のような着手にはすぐ目がいきます。白を攻めながら右辺下方に黒地ができるのですから。でも、厚みをすぐに囲うと、その時点で厚みの働きはなくなってしまう。序盤ならなおさらもったいないですよね! 白4で△(黒)の二子が薄くなりました。

Good ○ 正解 弱点をカバーしながら囲う
黒1としっかり構えておくのが賢い。1図では薄くなった△(黒)二子はこれですっかり安心。右辺白への攻めが楽しみです。というよりも、黒1自体がすでに攻めになっています。白2なら黒3の要領。上辺を大きく囲いながら、白を右下の厚みに追いやります。

※肩書はテキスト掲載当時のものです。
■『NHK囲碁講座』2019年3月号より

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