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新曲「二重螺旋構造」は、鈴木光司さんの作品をヒントにした ------アノヒトの読書遍歴:三浦隆一さん(前編)

3人組ロックバンド「空想委員会」のボーカルとして活動する三浦隆一さん。2008年から音楽活動を開始し、2014年に念願のメジャーデビューを果たします。
「安全かつ健全にはしゃぎ、全員で楽しむ事」をライブのテーマに掲げ、その通りの盛り上がりをみせるライブ風景が幅広い層から支持され、人気を集めています。さらに、今年4月に発売したシングル曲「二重螺旋構造」が映画主題歌に抜擢されるなど、今まさに波に乗っています。今回は、そんな三浦さんに日頃の読書の生活についてお話を伺いました。

------三浦さんと「本」との出会いはいつ頃でしょうか?

「私は実家が青森なんですが、母親が毎月童話を必ず一冊買ってくれる家で。なので本は幼少期から結構読んでいました。小学校、中学校に上がってからは『シートン動物記』あたりを読んでいた覚えがあります。でも部活を始めてからはほぼ読まなくなってしまいました。その後本に戻ってきたのは、1990年代後半頃にやってきた、鈴木光司さんの『リング』『らせん』『ループ』のブーム時。それで、この人すごいなって思って、そこから派生して鈴木光司さんの作品をいっぱい読んでいましたね。当時は映画の方が人気があった印象がありましたが、CMで感化されて原作を読もうと思い、先に本を手に取りました」

------今の三浦さんの音楽活動に「本」は何か影響していますか?

「それこそ鈴木光司さんの『仄暗い水の底から』っていうホラー作品があるんですが、『水』にまつわるさまざまな怖い話が短編で集まっている一冊で、かなり影響を受けています。空想委員会には『空の罠』という上下巻のCDがあるんですが、この本がヒントになって天気に関する曲を集めようというコンセプトを思い付きました。一曲一曲は全然違っていて関係ない作りになっているんですが、テーマは全部空または天気になっています。ちなみに、4月に発売した『二重螺旋構造』も鈴木光司さんの影響を受けています」

------音楽活動をするうえで、「本」は欠かせないといった感じでしょうか。

「そうですね。加茂啓太郎さんの『ミュージシャンになる方法』という一冊もかなり影響を受けました。これはビジネス本かつハウツー本です。実は今私が一番影響を受けているバンドが『ナンバーガール』というロックバンドなんですが、彼らをインディーズ時代に発掘してメジャーに引っ張ってきた方がこの加茂啓太郎さんなんです。私は大学生の時にこの本と出会って、ミュージシャンってどんな仕事なのかなということを学びました。当時は就職活動中で、その頃はミュージシャンになれるとは思ってはおらず、ほかにやりたいことも特になかったのでその周りのスタッフさんになれたらいいなと思って買いました」

------具体的にはどのような内容が書かれているのでしょうか。

「マネジメント会社とは何か、音楽出版社とは何か、印税の仕組みとは何か、イベンターとは何か、といったように、ミュージシャンだけでなくスタッフさんの仕事について描かれており、それらに関する専門用語についても詳しく説明がされています。この本のなかには『ミュージシャンになれる人はどんな人か』について書かれている部分があるのですが、たとえばこのアーティストはこういう部分が素敵だからプロになったんだ、という紹介があります。そういう風に、普通に学生生活を送っていたら知らないようなことを紹介してくれる本ですね、これは」

------この本を読んで三浦さんはミュージシャンになろうと決めた感じですか?

「逆にですね、なれないなって思いましたね(笑)。ただこれ、この本の最後のページの方に『この本を読んだ方でミュージシャン志望の方は加茂さん宛にデモテープを送ってください』というような記載があったので、デモテープを本当に送ってみたんです。それで何日かしたらちゃんと返事が返ってきて。『今の三浦君の技量というか才能ではちょっと難しいと思います』って返事をもらいました(苦笑)。そういうのを含めて僕にとってかなり大事な本です。ミュージシャンになりたいと考えている人は1度読んだ方がいいと思います。自分が今どこを目指しているのかを客観的に知れると思いますし、ミュージシャンとその周りにはどういう仕事があるのかという基本的な知識も身に付けることができます。おすすめの一冊です」

------ありがとうございます。後編では、三浦さんが影響を受けた本について紹介します。お楽しみに。

<プロフィール>
三浦隆一 みうらりゅういち/青森県出身。ミュージシャン。3人組バンド「空想委員会」のボーカル、ギターを担当。2010年1月に現メンバーが加入し、音楽活動を本格的に開始。2011年12月にファーストミニアルバム『恋愛下手の作り方』でインディーズデビュー。2014年6月にファーストフルアルバム『種の起源』で念願のメジャーデビューを果たす。現在はライブ活動を中心に音楽活動を精力的に行っている。今年4月には、サードシングル「ビジョン/二重螺旋構造」を発売。「ビジョン」は、テレビアニメ「遊☆戯☆王ARC-V」のエンディングテーマに、「二重螺旋構造」は、映画『燐寸少女 マッチショウジョ』の主題歌に抜擢されるなど、今注目のバンドとして注目を浴びている。

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