"純三年子滝野川大長牛蒡"という名前の野菜をご存知?

少しかしこくなる野菜の話
『少しかしこくなる野菜の話』
笠倉出版社
637円(税込)
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 ウナギと共に出てくることの多い"サンショウ"。なぜウナギと一緒に出されるのか、その理由をご存知でしょうか。

 サンショウの辛みの原因になるサンショオールという成分には、食欲増進や抗菌殺菌の効果が。脂っこいウナギを食べる際、この成分が胃腸に効き、消化の促進に役立つため、ウナギと共に出されることが多いのだそうです。

 本書『少しかしこくなれる 野菜の話』には、こうした野菜やキノコ、ハーブなどにまつわる、ちょっとした雑学が満載。

 たとえば、アブラナ科に属する"コマツナ"。このコマツナという名前、名付け親は江戸幕府第8代将軍の徳川吉宗。「小松という名は、江戸川区の小松川という地名に由来しており、かつてこの地を訪れた吉宗がコマツナを食べ、その味に感動し『産地にちなみコマツナとよぶがよい』と命名した」(本書より)といわれているそうです。

 同じく"ホウレンソウ"も江戸時代から人気の食材。ペルシアが原産のホウレンソウは、中国を経て江戸時代に日本にやってきたもの。江戸の節約おかず番付の春の段にはホウレンソウ浸しがランクイン、井原西鶴の小説にも登場するなど江戸っ子になじみの深い野菜だったようです。

 また料理の香りづけなどに使われるハーブである"バジル"。江戸時代、このバジルのタネは、目箒(めぼうき)と呼ばれ、目の掃除に使われていたそう。「種に水を吸わせると種の周りに出るゲルが目の中を掃除し、きれいにしてくれる」(本書より)といわれていたそうです。

 続いて"ナス"にまつわる知識。ナスを英語でいうとエッグプラントですが、なぜそのような英語名なのかというと、ナスの品種のひとつであるシロナスの姿が殻をむいた卵のようだったから。まるで卵のようなシロナスが木になっているところから、エッグプラントつまり卵のなる木という意味を持つ名がついたそうです。

 こうした名前の由来を持つナス、ヘタの部分はついつい捨ててしまいがちですが、さまざまな薬効効果があるとのこと。歯痛や口内炎には、ナスのヘタの黒焼きをつけたり、舌や唇のはれにはヘタを10日ほど干し、カラカラになったものを患部にぬると良いそうです。

 さて、こういったさまざまな野菜、その名前には地名や形態の特徴が入ることもありますが、なかには覚え切れないほど長い名前のものも。なんと20字もあるというのは、"純三年子滝野川大長牛蒡"(じゅんさんねんごたきのがわおおながごぼう)。江戸時代の滝野川村(現在の東京都北区滝野川)が発祥の足掛け3年かけて育つゴボウなのだといいます。

 身近な野菜にまつわる意外な由来や効能、知っていると"少しかしこくなれる"かもしれません。

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