外国の友人をエスコートしたくなる本~『TRANSIT TOKYO ごはん 』
- 『TRANSIT TOKYO ごはん (講談社 Mook) (講談社 Mook)』
- 梶原 由景,TRANSIT編集部
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旅をすること、世界を知ることを綴っていく雑誌『TRANSIT』。同雑誌のスピンオフ第一弾として、「東京のごはん」を特集した『TRANSIT TOKYO』が発売された。
東京といいながらも、ここで紹介されているほとんどのお店が、原宿・表参道、恵比寿や中目黒、世田谷といったいわゆる城西・城南地区に偏っている。まんべんなく東京を網羅することをある意味放棄しているのが、普通のガイド本とは違うところだ。これらのエリアで日常を過ごすし、『TRANSIT』に共感する旅心を忘れないライフスタイルを持つ人にとっては、格好のガイドになりそうだ。
また、同書はバイリンガル使用になっている。これは海外の旅行者にそのまま使ってもらうためでなく、例えばあなたが外国から訪れた友人と、楽しい時間を過ごそうと思った時に使ってもらうため。同書を開き、お目当ての店を選び出し、そして目的のお店に関して説明する際に読ませてあげるというもの。その観点から、正確な対訳というよりは、簡単な紹介文となっているのがまた丁度いい感じだ。
旅心をくすぐるお店のセレクトを担当したのが、元ビームスのクリエイティブディレクターで、LOWERCASE代表の梶原由景氏。デザイン、ファッション、デジタルと広範囲にクライアントを持つだけでなく、業界きっての食通としても知られ、グルメ情報満載のブログのファンは多い。
そんな梶原氏が、東京で一番の居酒屋というのが、三軒茶屋にある「うち田」。主人が和・洋で修行しており、酒に合う旨いものを縦横無尽に作りだすという。最高に吟味した生の本マグロが刺し盛りとして供されるかと思えば、車エビをグラタンで仕上げてしまう。また、サラダにしたって馬鹿みたい美味しい。一人で調理しているので、ゆっくりとしたペースで料理が出てくるが、それが逆に酒飲みには心地よい。空腹を満たしたい人は、店内に掲示された「おふくろの味」から数品頼んでおこう。同じ三軒茶屋で飲み屋さんを営むお母さんが作る、まさに看板に偽りなしの一品が届けられる。また、サワーを飲まないのは片手落ち。季節ごとに旬の柑橘類で作られる生搾りサワーは、2杯飲んだらあとはエンドレス--。
ゆめゆめ油断を召されぬよう、とのことだ。
■TRANSIT Tokyo
http://www.transit.ne.jp/tokyo/01-gohan/