『一献の系譜』 は、9月26日(土)より新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショーです!
食欲の秋をもっとおいしくしてくれる日本酒。特に、海鮮やお寿司を食べながら、座敷で友人たちとまったり語り合い、日本酒とともに過ごす時間はなんともいえない至福のひと時です。そんな日本酒を造る職人・杜氏を題材にしたドキュメンタリー映画が、『一献の系譜』。今年新幹線が開通し話題になっている石川県が全面的に後援する、この秋注目の映画です!
日本四大杜氏のひとつ、石川県能登地方を舞台にした本作。監督は、短編映画『おばあちゃま ごめんね』で、大阪阿倍野ヒューマンドキュメンタリー映画祭にて見事入賞を果たした石井かほりさんです。これまで、日本最古の型染めの技法である木版染め職人を記録した作品『めぐる』や、能登半島で古くから伝わる塩造りに励む職人の姿を追った『ひとにぎりの塩』などを手がけています。このように、石井さんの作品には職人を追うドキュメンタリー映画が多く、今回で職人シリーズは3本目。取材や撮影期間も含めると3年以上もかけて仕上げた渾身の作品です。
みどころは、普段なかなか見ることのできない杜氏の暮らしについて知れること。毎年、酒造りが始まると、半年もの間家族と離れ、一日も休むことなく朝早くから作業を始めるという過酷な生活です。舞台となった能登地方は、日本海に突き出すその特殊な地形から季節風の影響を受けやすく、冬になると冷たい空気が流れ込んでとても冷え込みます。しかも、ひと昔前までは今ほどお酒を管理できる設備が整っておらず、お酒を腐らせてしまう職人さんも中にはおり、重責のあまり自殺する人も出るほど。そんな厳しい環境下で日本酒造りの技術を極めたのが、「能登杜氏四天王」と呼ばれる男たち。本作に登場するのは、その四天王の流儀を受け継いだ、現役の後輩杜氏たちなのです。彼らの生き様は、現代に生きる私たちに「生きる道」とは何かを教えてくれます。
そんな本作の公開にあわせ、8月17日、東京・丸の内にある「蒸し料理レストラン musumusu(ムスムス)」でキックオフイベントが開催されました。同イベントには、監督の石井さんと石川県出身で石川県観光大使でもある俳優・篠井英介さんがゲストで登場しトークショーを行ったほか、撮影に協力した能登の蔵元さんたちが日本酒についてアピールを行いました。
本作について石井さんは、「最近の日本酒はすごく上質で美味しいものが多く、まずそのことを知ってほしいです。映画を観て頂けたら、作り手の思いや歴史もわかると思います。彼らがどう生きていくか、またどう仕事に挑んでいくかを知ってもらえれば」と話しました。
また篠井さんは、「2回観た方がいい作品だと思いました。1回目はへえと思うばかりでしたが、2回目は映画に出てくる人たちの人物像や景色、作業工程とかが落ち着いて観られるんです」と感想を述べました。
日本酒がどのように造られているかを知れるだけではなく、杜氏たちの技や生き様を学べる同作品。普段日本酒をあまり飲まない人でも、観れば確実に日本酒が好きになっちゃう作品です。日本酒好きの人はもちろん必須の映画ですね。ぜひ劇場に足を運んで観てください!
(取材・文/小山田滝音)
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『一献の系譜』
9月26日(土)より新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー
監督:石井かほり
ナレーション:篠原ともえ
配給:グリクリエイツ株式会社
2015/日本映画/103分
http://ikkon-movie.com
©2015映画一献の系譜製作上映委員会