船江恒平六段、千日手の思い出

撮影:藤田浩司
6月に行われた第43期棋王戦予選決勝で、藤井聡太(ふじい・そうた)四段と澤田真吾(さわだ・しんご)六段の対局が千日手で指し直しとなったことが話題となりました。『NHK将棋講座』で講師を務める船江恒平(ふなえ・こうへい)六段が、千日手の思い出を語ります。

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皆さん、千日手はお好きですか?
正直に申し上げて私は嫌いです。できることなら千日手にはしたくありません。長い時間をかけて作り上げてきた将棋がなかったことになり、また一から始まる。少し悲しくなります。とはいえ勝負ですから、打開して負けることが明白ならば、私ももちろん千日手を選びます。
深夜に千日手が成立したこともありました。30分の休憩を挟み、日付の変わるころに指し直し局が始まり、終局は午前5時。初夏の季節で窓の外は少し明るくなっていました。感想戦が終わってから対戦相手や関係者の方と食事に行こうという話になりました。ですが、千駄ヶ谷に早朝から開いている店などありません。店を求めて築地に行ったことが、とても印象に残っています。
■『NHK将棋講座』2017年7月号より

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