目指せ! 将棋ガールナンバーワン

写真/藤田浩司
日本女子プロ将棋協会(LPSA)が主催する、第10回小学生・第8回中学生女子将棋名人戦全国大会が8月28日(日)に行われ、将棋女子の熱い戦いが繰り広げられた。

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日本女子プロ将棋協会(LPSA)が設立されてすぐ、2007年8月から開催している小学生女子名人戦は、今年節目の第10回大会を迎えました。これまでの参加者から8名の女流棋士と4名の奨励会員を輩出し、最初は東京と大阪のみだった地区大会も、昨年からは全国7か所で行っています。
その記念すべき全国大会、今年の小学生の部は8名の代表のうち7名が初代表でしたが、皆さんしっかりした将棋で、集中した対局態度も立派でした。
決勝戦は、関西代表の佐々木海法さんと九州代表の鈴木千尋さんの対戦に。予選では石田流から佐々木さんが快勝していましたが、決勝では鈴木さんが駒得から着実にリードを広げ、初優勝を果たしました。
鈴木さんは熊本市の小学6年生。地震の影響で九州大会が中止となり、推薦での出場で栄冠を勝ち取りました。
「将棋をやっていて、まわりが男の子ばかりで困ることはないですか?」という質問に「ないです」ときっぱり。今大会後、九州研修会に入会。例会には片道2時間以上かけて通っているそうで、今後の成長が楽しみです。
小学生女子名人戦から2年遅れてスタートした中学生女子名人戦。現在の中学生女子アマ選手は大変層が厚く、女流プロ棋戦のアマ予選や一般女性大会でも多数活躍しています。
決勝戦は、関東代表の礒谷真帆さんと関西代表の野原未蘭さんの組み合わせ。両者はこの夏、マイナビチャレンジマッチ決勝、中学選抜準決勝、と大きな舞台での対戦が続いていました。お互い負けられないライバル対決は1時間を超える大熱戦となり、最後は野原さんが勝ち切りました。
野原さんは富山市在住の中学1年生。「優勝できてうれしいです。この大会は中継があって、緊張するけどいい経験になります」「将来はタイトル戦に出られるような強い女流棋士になりたいです」とまっすぐな瞳で語ってくれました。
以前に比べれば、女性大会はずいぶん増えましたが、まだまだ地方での開催は少ないのが実情です。LPSAではこれからも、GSP(ガールズショウギプロジェクト:女の子が将棋を楽しむ環境作り)の根幹であるこの大会を発展させ、たくさんの将棋女子を育てていきたいと思います。
(文/ LPSA 大庭美夏)
■『NHK将棋講座』2016年12月号より

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