木村一基八段に聞く 入玉のコツ

写真/河井邦彦
10月号に登場した稲葉陽(いなば・あきら)八段が、木村一基(きむら・かずき)八段に、ずばり「入玉のコツ」を聞きました。

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■Q/入玉が得意なイメージがありますが、コツを教えていただけますでしょうか?

A/コツはあなたのほうがよく知っているでしょう、と言いたいですけどね(笑)。と金を大事にすることを心がけています。基本は攻め駒を責めるときに成り駒を作ることです。玉頭に成り駒が多いと捕まりにくくなり、入玉がしやすくなります。最後は1点を巡る攻防になることも多く、派手に駒を捨てて寄せを目指す棋風の人には向いていません。確かに私は駒を大事にしすぎるあまり、入玉できるかどうかの戦いになることが多いでしょうか。諦めないことが大事です。

■Q/木村先生の解説が面白いです。解説の中で意識していることはありますか?

A/以前は人前で話をするのが苦手でした。若手時代にNHK将棋講座の講師を務めさせていただきましたが、当初は大変でした。ようやく慣れてきたと思ったら任期が終わってしまって(笑)。それをきっかけに少しずつ話ができるようになった気がします。時には失言もあるかと思います。あとで「しゃべりすぎたな」と反省することも少なくはないです。
ファンの方の棋力もばらばらですから、技術面以外の話を多くするように心がけています。将棋の内容はよく分からないけど、ひとつでも面白いと感じてくだされば、またイベントに来てくれると思いますので。私の解説がきっかけで将棋に興味を持ってくれればうれしいですね。

■Q/ふだんから優しくて怒った姿を想像できません。怒ることもありますか?

A/この質問は意外だなぁ(笑)。私はこう見えて、けっこう短気なんですけどね。気が長いという感じではなく、どちらかといえば瞬間湯沸かし器ですよ。周囲の人に優しくしている意識もありません。弟子の髙野(智史四段)には厳しく言いますよ。将棋の内容にしても私生活にしても。あとは自分の子どもを叱ります。とはいっても、稲葉さんの目に触れることがないため、優しいというイメージを持たれているのかもしれませんね。
■『NHK将棋講座』2016年11月号より

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