「お兄さんとは対局しますか?」豊島将之七段から、稲葉陽八段への質問

写真:藤田浩司
先月号に登場した豊島将之(とよしま・まさゆき)七段が、同じく関西でしのぎを削る稲葉陽(いなば・あきら)八段に質問してみました。

* * *

Q/奨励会時代、糸谷さん(哲郎八段)以上に早指しだったと思いますが、どうしてあんなに早かったのですか。
A/級位者は例会で1日に3局指すのですが、午前中に3局指したことがあるのは、たぶん自分だけでしょうね。昔は考えたら勝てなかったんですよ。だから早指し。手が勝手に動いて、いつも消費時間が5分くらいでした。午前中で終わらせたときは1勝2敗でした。奨励会幹事が師匠で「こいつは見込みがない」と思われたでしょうが、何も言われなかったですね。
Q/稲葉さんから見た井上師匠の人柄を教えてください。
A/誰にでも気さくで優しい先生です。話しやすい先生ですね。弟子に対しては、マナーなどで厳しい一面もあります。激しく怒る姿を見たことがありますが、自分に対してはそういうことはなく、優しく諭してくれる印象です。
Q/お兄さんとは対局しますか。棋風は似ているのでしょうか。私は似ているとは思いませんが。
A/これ、質問から答えまで自分で完結していますよね。まず1つ目ですが、指すことはほぼないです。
今年の冬に、イベントの席上対局で指しましたが、その前は兄が三段リーグ編入試験を受けると言ったとき(2011年、不合格)に何局か。その前となるといつだろう。正棋会(関西のアマ強豪や奨励会員が集う例会)に奨励会二段まで参加していて、兄もいたので対局しているかもしれません。
家ではほとんど指していないですね。お互いに負けたくない立場のときは断るので、こどものころは兄が、今は自分が断ります。いや、断る機会すらないですけど。
兄の将棋は公式戦でネット中継されていれば見ますけど、ふだんは見る機会がありません。どのアマチュア大会に出ているのかも知らないです。詳しい人に「今日はご兄弟で東京にいますね」と教えてもらうくらい知らないです。
棋風については、兄も変わっていくのでよく分からないです。最近は受けて立つ指し方をしているように見えます。私はとにかく攻めますが、受けの手を指すときは兄と似た手を選ぶ気がします。受けるか攻めるかとなれば、私は攻めを選びますが、兄はおそらく受けを選ぶのでしょうね。
■『NHK将棋講座』2016年10月号より

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