棋士の名前の由来で大盛り上がり! 囲碁で復興支援 in 宮古

撮影:小松士郎
東北の皆さんに癒やしや笑顔をお届けする「NHK公開復興サポート 明日へ in 宮古」が5月24日に岩手県立大学宮古短期大学部(岩手県宮古市)で開催された。第1回が2013年1月に福島市で行われ、7回目となった今回は、昨年のいわき市に引き続き「囲碁フォーカス」の公開収録が行われた。

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講義室の一室で行われたイベントには「囲碁フォーカス」の司会を務める小松英樹九段、戸島花さんのほか、武宮正樹九段、万波奈穂三段、そして地元岩手県出身の外柳是聞初段がゲストとして登場。
黒板を背景にした講義室は、宮古市内を中心に集まった囲碁ファンの皆さんでぎっしり埋まり、小松九段と戸島さんによる囲碁講座のほか、棋士による公開座談会、プロ・アマ混合の連碁が行われた。

■公開収録で緊張?

囲碁講座では、いつもと違い大勢の皆さんの前で緊張したのか、小松九段がNGを続けて出してしまう。しかし通常の収録とは違い、途中からの撮り直しが可能なため「NGを出しても、今日は楽しいね」と小松九段がにこやかにつぶやくと、戸島さんは「こんなに楽しそうな小松九段は初めて見ました!」と返し、場内は大爆笑。
講座の収録に続いて行われた公開トークに参加した外柳初段だが、ご両親もサプライズでイベントに参加。外柳初段の名前「是聞(せぶん)」の由来は、聖徳太子のように7つの話を聞けるように、とのこと。それに対し「これからは、7大タイトル制覇のセブンだね」と場を盛り上げた小松九段だが、ご自身の名前である「英樹」は、大竹英雄九段から「英」を、武宮正樹九段から「樹」をいただいたそうだ。「そのおかげで、お二人ともすごくやさしくしてくれます(笑)」

■元気いっぱいの宮古の皆さん

イベントの締めくくりとして、全員が一人3手ずつ打つ連碁が行われた。初心者から高段者まで二転三転する形勢に一喜一憂し、最後は誰も気が付かなかった妙手に、会場からは大きな歓声が上がった。
「震災を全く感じさせない」と出演者が口をそろえるほど、元気いっぱいの宮古の皆さん。しかし、会場となった短期大学のすぐ近くでも、まだ多くの方々が仮設住宅での生活を余儀なくされているなど、震災の爪痕は人々の心の奥底に深く刻み込まれている。
「私には囲碁しかできないので、囲碁を通して皆さんを元気づけることができればと思っています」と万波三段が語るように、明日へと進む皆さんのために囲碁が少しでも役立てばと、願ってやまない。
■『NHK囲碁講座』2015年8月号より

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