囲碁のすそ野を広げたい……円田秀樹九段の不断なる努力
- 撮影:小松士郎
二十数年前、フランクフルトで行われた第15期名人戦における記録係を務めた際に、現地の囲碁ファンと触れ合った体験から、囲碁の海外普及活動に情熱を傾けている円田秀樹(えんだ・ひでき)九段。現在は、日本棋院の関西総本部担当常務理事として碁界の発展にも尽力している。円田九段に、囲碁の発展にかける思いを聞いた。
* * *
■常務理事として
海外普及への思いがすべてというわけではないのですが、当然それを含めた形で囲碁界に貢献したいという気持ちで常務理事に立候補しました。具体的にと言われると難しいのですが、ファンの減少など、今の囲碁界は本当に危機的状況だと思っていますので、それを何とかいい方向に向けていけたらと思っています。
その意味ではやはり、囲碁人口の拡大という点が第一となってくるでしょう。現代は趣味も多様化していて、囲碁自体の魅力が伝わりづらい時代になっているのかもしれません。昭和の中ごろまでは囲碁ファンも多く、他の趣味もそれほど多くなかったので、囲碁界全体が囲碁の魅力を伝えることを怠っていた面があったかもしれませんね。
私は関西総本部の所属で、常務理事としても関西総本部担当です。従って関西総本部のいろいろなことについて、責任を持って改善していくのが最大の仕事となります。
総本部として長年ずっと取り組んできていることがありますので、まずはそれを継続発展させていくこと。それに加えて新しい事業ができたらとも思っています。
そして幸いにして、我が関西総本部には、井山裕太さんというスーパースターがいます。ですから、いい意味でその存在を利用させていただかないと…。彼は今や「関西の井山」ではなく「日本の井山」ですからね。彼がいることで関西総本部はいろいろな恩恵を受けていますし、本当にありがたいことです。
ただ、井山さんの次に続く人が、関西総本部では育っていません。そこを何とかすることが、現在の最大の課題でしょうか。結局はやはり、「底辺・すそ野の拡大」ということになってくるのですが…。山を高くするには、すそ野が広くないと…。
■目指すところ
関西総本部に限定せずやってみたいことといえば、やっぱり「海外普及」に関連したことですね。
具体的には、日本に海外の人を招いて、ヨーロッパの「GО・コングレス」のような大会を開催できればと思っています。日本人の方も交ざって、いろいろな国の方とコミュニケーションを取って、お友達をたくさん作っていただけたら、こんなにうれしいことはありません。
ヨーロッパでは、カフェなどで普通に囲碁を打っていますからね。気軽なんです。ですから日本でも、囲碁というゲームをもっと一般的なものにしたいという願望があります。
日本ではどうしても「囲碁って年配の人がやっているもの」という先入観が出来上がってしまっています。そのように認識されがちなのですが、海外では「純粋にゲームとして面白いもの」という認識ですから、日本でもそういう方向性で広げていけたらと…。
10年ほど前に囲碁のマンガが流行してアニメにもなり、そのおかげでかなりの人に囲碁というものが知れ渡ったのですが、一時のブームだった感は否めず、その後また少なくなってきてしまっています。ですから先ほども言いましたが、子どもたちからすそ野を広げていかなければなりません。
そして最後になりましたが、私も棋士ですので、手合のほうも一戦一戦、精いっぱい頑張りたいと思っています。
井山さんと対戦できるようにね。
■『NHK囲碁講座』2015年2月号より
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■常務理事として
海外普及への思いがすべてというわけではないのですが、当然それを含めた形で囲碁界に貢献したいという気持ちで常務理事に立候補しました。具体的にと言われると難しいのですが、ファンの減少など、今の囲碁界は本当に危機的状況だと思っていますので、それを何とかいい方向に向けていけたらと思っています。
その意味ではやはり、囲碁人口の拡大という点が第一となってくるでしょう。現代は趣味も多様化していて、囲碁自体の魅力が伝わりづらい時代になっているのかもしれません。昭和の中ごろまでは囲碁ファンも多く、他の趣味もそれほど多くなかったので、囲碁界全体が囲碁の魅力を伝えることを怠っていた面があったかもしれませんね。
私は関西総本部の所属で、常務理事としても関西総本部担当です。従って関西総本部のいろいろなことについて、責任を持って改善していくのが最大の仕事となります。
総本部として長年ずっと取り組んできていることがありますので、まずはそれを継続発展させていくこと。それに加えて新しい事業ができたらとも思っています。
そして幸いにして、我が関西総本部には、井山裕太さんというスーパースターがいます。ですから、いい意味でその存在を利用させていただかないと…。彼は今や「関西の井山」ではなく「日本の井山」ですからね。彼がいることで関西総本部はいろいろな恩恵を受けていますし、本当にありがたいことです。
ただ、井山さんの次に続く人が、関西総本部では育っていません。そこを何とかすることが、現在の最大の課題でしょうか。結局はやはり、「底辺・すそ野の拡大」ということになってくるのですが…。山を高くするには、すそ野が広くないと…。
■目指すところ
関西総本部に限定せずやってみたいことといえば、やっぱり「海外普及」に関連したことですね。
具体的には、日本に海外の人を招いて、ヨーロッパの「GО・コングレス」のような大会を開催できればと思っています。日本人の方も交ざって、いろいろな国の方とコミュニケーションを取って、お友達をたくさん作っていただけたら、こんなにうれしいことはありません。
ヨーロッパでは、カフェなどで普通に囲碁を打っていますからね。気軽なんです。ですから日本でも、囲碁というゲームをもっと一般的なものにしたいという願望があります。
日本ではどうしても「囲碁って年配の人がやっているもの」という先入観が出来上がってしまっています。そのように認識されがちなのですが、海外では「純粋にゲームとして面白いもの」という認識ですから、日本でもそういう方向性で広げていけたらと…。
10年ほど前に囲碁のマンガが流行してアニメにもなり、そのおかげでかなりの人に囲碁というものが知れ渡ったのですが、一時のブームだった感は否めず、その後また少なくなってきてしまっています。ですから先ほども言いましたが、子どもたちからすそ野を広げていかなければなりません。
そして最後になりましたが、私も棋士ですので、手合のほうも一戦一戦、精いっぱい頑張りたいと思っています。
井山さんと対戦できるようにね。
■『NHK囲碁講座』2015年2月号より
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