ウルトラマンの"中の人"が確定申告で経費として申告したあるモノとは

ウルトラマンになった男
『ウルトラマンになった男』
古谷 敏
小学館
1,836円(税込)
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 1月1日から12月31日までの1年間の所得を確定して、納税額を申告する確定申告。今年の申告期間は、2月16日(月)~3月16日(月)まで。3月の声を聞いてから慌てて、領収証の山と格闘している方も多いかもしれません。

 従来、白色申告では、帳簿への記帳および帳簿等の保管が義務付けられている対象者は限定されていました。しかし、今回から対象範囲が拡大し、「白色申告者全員」に「記帳と帳簿類の保存」が義務化されたとあって、頭を抱えてしまうフリーランスや自営業の方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 これまで帳簿をつける習慣がなかった人にとっては、経費の仕訳は判断に迷うものですが、「仕事に必要なもの」であれば、資格取得のために購入した本や、仕事用の衣装・作業着も、経費として認められる場合もあります。

 たとえば、本書『ウルトラマンになった男』著者の古谷敏さんは、「仕事に必要なもの」であるとして、意外なモノを経費として計上していました。

 古谷さんは、180センチという高身長を買われて、ウルトラマンのスーツアクター、つまり"中の人"になった人物。スマートな体型にフィットするように作られたウルトラマンスーツは、呼吸も満足にできず、中に入っているのは15分が限界。ちょっと動けば、たちまち熱中症状態になってしまうようなスーツの中に何を着るかが、まさに死活問題となっていました。

 古谷さんにとっても、円谷プロの特撮スタッフにとっても、ウルトラマンの制作は初めてのことで、試行錯誤の連続。ステテコ、パンティーストッキング、バレエ用のタイツ、さらには"越中ふんどし"まで試したのだとか。

 なかなかコレと言うものが見つからない中、たまたま東京・銀座を歩いていたときに目に留まったのが、スポーツファッション店で販売していた「サーフィン用のビキニパンツ」。そのころでは珍しい海外ブランドjantzen(ジャンセン)の商品で、試着して履き心地が気に入り、その場で4枚もお買い上げ。

「かなり高価だった。また貧乏になってしまった」(本書より)と嘆いた古谷さんですが、そのビキニパンツを経費として申告することにします。

「翌年、税金の申告に税務署に行った。水着は、経費と認めませんと言われた。でも、これは、僕の仕事の衣装なんです、と言ってウルトラマンの説明をした。驚いたことに税務署の係の人の子供も、ウルトラマンが大好きなんだそうで、経費として認めてくれた」(本書より)

 これは昭和40年代当時の話ですが、税務署の人も、水着を経費として認めてくれたという、なにやらほほえましいエピソードです。とかく、税務署と聞くと身構えてしまいがちですが、確定申告シーズンは、わからないことがあれば担当者が付きっきりで教えてくれるので、意外に簡単に終わることも。期間中は、署外に開設される申告書作成会場に行って、直接教えてもらいながら作業した方が手っ取り早いという意見もあるそうです。経費そのものが全額戻ってくるわけではありませんが、納め過ぎていた税金を還付金として取り戻すために、まずは税務署に足を運んでみてはいかがでしょうか。

【関連リンク】
古谷敏 公式サイト
http://www.binfuruya.com/

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