生活経済評論家・川北義則氏 「孤独死=かわいそうではない」

「孤独」が一流の男をつくる (アスコムBOOKS)
『「孤独」が一流の男をつくる (アスコムBOOKS)』
川北 義則
アスコム
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 毎日新聞(3月12日付け朝刊)によれば、東京都・新宿区にある松本循環器クリニックの松本博志院長が1人暮らしの老人の異常を未然に察知する"孤独死センサー"を発明したとのこと。血管の振動回数を「人が動けなくなる」とされる1分間に40回以下の場合と、120回以上になった場合を「異常」としてとらえる機能をもっており、孤独死防止や健康状態の把握に努めるそうです。

 内閣府が発表した高齢社会白書(2012年版)には、60歳以上の独居男性のうち3割近くは「毎日他人と言葉を交わしていない」、7.5%は1週間に一度も会話をしていないという調査結果が出ています。さらに孤独死を身近に感じている高齢者は6割に達し、独居者への社会的対応は今後も問われそうです。

 生活経済評論家で書籍『「孤独」が一流の男をつくる』の著者である川北義則さんは同書のなかで、孤独死に対する考え方を次のように語っています。

 「日本では"孤独死、孤独死"と1人で死んでいくことばかりを問題にするが、欧米では、死に方はほとんど問題にならない。自立心が旺盛な欧米では、日本のように家族に見守られながら死ぬのが必ずしも幸福だとは思っていないのだ。孤独死は少ない方が良いに決まっているが、この先、単身者は増える一方だから増加は避けられない。そのたびに"孤独死をなくせ""孤独死は侘しい"と言い続けるのだろうか」

 孤独死が増え続けているいまだからこそ、個人の死に方について改めて考える必要があるのだと川北氏。孤独を感じながらこの世を去る人がいるのも事実ですが、凛と生きて誇り高くこの世を去る人もいるとのこと。「孤独死=不幸」と決めつけ何もかも悲観視する必要はないのかもしれません。

 最後に川北さんは、1人で強く生きていく方法として"自分の歴史を振り返る"ことを勧めます。そうすれば、自分は今までの人生が1人きりではなかったことに気づくのだそうです。誰にでも訪れる老いや死と向き合うために、読んでおきたい一冊です。

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