マッキンゼー・アンド・カンパニー採用マネージャーの意外な苦悩
- 『採用基準』
- 伊賀 泰代
- ダイヤモンド社
- 1,620円(税込)
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2014年度入社予定・新卒の採用選考「12月1日解禁」が目の前に迫っています。この日をさかいに、就活モードに切り替える大学3年生も多いはず。いよいよ本格的な就活がはじまる学生にとって、採用担当の生の声は、喉から手が出るほどに欲しい情報。
マッキンゼー・アンド・カンパニーは、アメリカ合衆国に本社を置く名門コンサルティング会社。そのマッキンゼーの採用マネージャーを12年間勤めた伊賀泰代氏が、マッキンゼーの「採用」についての意外な事実を、著書『採用基準』のなかで語っています。
多くの優秀な人材が応募してくるマッキンゼーの採用試験。そのなかから新卒を採用するのですから、そう難しい仕事ではないのではと思いがちです。しかし、実際はそうでもないようで、説明会の参加者集めに困ったことはないと、伊賀氏も認めていますが、必要な採用人数の確保は、毎年大きなチャレンジになると言うのです。
その背景には、「外資系コンサルティングファームが求める人材イメージが、正確に理解されていない」という事情があるようです。具体的には、「マッキンゼーをはじめとする外資系コンサルティング会社は、とにかく頭のいい人を求めている」と誤解されるのです。しかもその「頭の良さ」は、学歴が高いことやケース問題がスラスラと解けることだと解釈されがち。
「最近よく聞く"地頭"という言葉も、フェルミ推定など、特定の問題解決手法を使いこなせることと同義のように語られます。しかし採用の決め手になるのは、地頭でもケース問題の正答率でもありません」と伊賀氏。
また、最近では"グローバル人材"という言葉も出てきました。この言葉にも問題があると伊賀氏は指摘します。ただグローバルにコミュニケーションをとれる人材が必要なわけではないのです。世界や日本に必要としているのは"グローバルリーダー"。このリーダーシップの部分を無視したまま、「グローバルに活躍できる人材」ばかりを求めたり、そういった人材を目指していては意味がないのです。もちろんマッキンゼーが求める人材は"グローバルリーダー"になる可能性を持つ人材です。
マッキンゼーの採用基準とは、つまり、「グローバルでリーダーとなるポテンシャルを持っているかどうか」ということなのです。
同書では、「これからのグローバルビジネスの前線で求められる資質」や、「日本ではなぜそれらの資質が正しく理解されていないのか」について語られています。企業が求める人材の本質を理解することが、就活生と企業が幸せになる近道なのではないでしょうか。数打てば当たるかもしれない就職活動ですが、時間をかけて企業や自分を見極めることも忘れてはいけないようです。