落語家の楽屋にある暗黙のルール 「地雷座布団」

楽屋顔-噺家・彦いちが撮った、高座の裏側- (講談社プラスアルファ文庫)
『楽屋顔-噺家・彦いちが撮った、高座の裏側- (講談社プラスアルファ文庫)』
林家 彦いち
講談社
720円(税込)
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 昨年11月、落語家の立川談志さんが亡くなったのはまだ記憶に新しいところ。毒舌や時に破天荒な行動で周囲を驚かせた談志さんですが、一方でそんな言動にもどこか「粋」を感じさせました。それは落語家という独特の職業がかもし出すものだったのかもしれません。

 そんな「粋」な世界の裏側を覗いたのが、『楽屋顔―噺家・彦いちが撮った、高座の裏側』。その名の通り、落語家である彦いちさんが、自身が出入りする楽屋を撮影。臨場感ある写真とともに、楽屋の裏話も散りばめられています。その裏話によると、楽屋には「地雷座布団」なるものがあるらしいのです。
 
 実は楽屋には多くの「暗黙のルール」が存在していて、部屋での立ち位置からお茶を出す場所まで、数センチ単位で厳密に決められているといいます。それはそこに立っていると階段をふさいでしまうからとか、そこにはネタ帳が置いてあるからお茶を置いてはいけないとか、ちゃんと理由があるものから「ん~、なんとなく」なんてものまであるから、外部の人間には全くわからないこともあるようです。

 それだけに、こんなエピソードも。ある日、寄席に初めて出演する奇術師が、なんと楽屋で一番エライ人が座る座布団にチョコンと座ってしまったのです。彦いちさんが「あの~」と声をかけると、その人は「あっ、僕ここで大丈夫だから」。その座布団について説明すると、慌てて転がるように移動したとのこと。一見すると何てことない席が、実はとんでもない「地雷座布団」だったりする、不思議で興味深い世界のようです。
 
 そんな独特の落語の世界ですが、これからは女性から支持を集めるかもしれません。3月3日、渋谷で「らくこのらくご―女の子のための落語」と銘打った女性限定の落語会が開催されます。女性に気軽に落語を楽しんでもらおうと催されるこの会、内容も「恋のおはなし」をメインにしており、場所も若い女性が集まりやすい渋谷、開催日もひな祭りと、徹底して女性目線を意識したもの。実は昨年5月から、渋谷で隔月の落語イベントを開催しており、全公演満員御礼という盛況ぶりだったそうです。
 
 山ガール、歴女に続き、これからは渋谷の「らくこ」に注目があつまりそうです。

【関連リンク】
らくこのらくご

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