離婚に「満足」の男性はなぜ少ない?~『大人のくらべる大事典』

大人のくらべる大事典
『大人のくらべる大事典』
週刊ポスト編集部
小学館
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 日本における離婚は、一般的なイメージとは裏腹に2002年の28万9836組を頂点に年々減る傾向にありました。それが一転2009年では2000組増えて、わずかながら増加に転じました。その背景には、雇用情勢の悪化があるといわれています。

 特に50代の熟年夫婦にとっては、突然のリストラによる離婚が大きな問題となっています。「クビになってしまった」という夫に「ずっとあなたに尽くしてきたのに、これまでの私の人生を返して!」と逆上して離婚に走る妻が少なくないのだとか......。
 
 これが一世代下だと、雇用機会均等法を経て妻も働き、自分の人生を築いています。だから、「これからどうすんのよ!」なんてヒステリックに泣き崩れることも少ないのです。

 「離婚110番」に相談した男性78人、女性84人による統計(2009年10月~2010年1月・複数回答)によると、女性の50人が離婚に「満足」していました。一方、男性の満足は20人だけ。まあまあ満足していると、なにやら自分で自分に言い聞かせているような人が16人、たぶん良かったと遠くを見つめているような人が10人、そして離婚を後悔している人はなんと32人もいるのです。

 もちろん女性も離婚して後悔する人はいます(8人)、そのほとんどが経済問題からです。一人になった女性がそれまでと同じレベルの生活を送るのは難しいこと。50代の女性が働ける職場は正社員どころかパート職も少なく、あったとしてもその時給は頭打。しかも離婚で生じる悩みは経済だけにとどまりません。仕事と子育ての両立に悩み、近所づきあいに戸惑い、老齢の親の介護に疲れ果てることもあります。

 一方で、一人ぼっちになった夫の「無縁死」は今や大きな社会問題にもなっています。妻がいたからこそのあたりまえな毎日に、夫は後から気づくのです。さらに、慰謝料を払うことにでもなったら......。「離婚110番」の統計では、50代の夫は100~700万円と幅はあるものの、大きな負担を要求されています。慰謝料の男女別負担率も50代では夫75%、妻25%と圧倒的に夫から妻へ支払う場合が多いのです。もちろん養育費も同率で夫側が妻へ支払っているのが実態です。

 もし、離婚の危機に直面した場合、男性は逆上した妻に泣いて土下座をしてでも残ってもらったほうが得策かもしれません。

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