『バーバレラ』にみるお色気担当という名のコメディエンヌ
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アクションやホラー系の映画にはだいたい配置されている「お色気担当」。勿論プロレスでも欠かせませんが、エロと同時にコメディエンヌとしての素地が求められる側面があります。そこで今回のお題は『バーバレラ』(1968)!
二度のアカデミー主演女優賞で知られるジェーン・フォンダが"お色気担当兼主役"として、美人エージェントを演じたエロティック・コメディで、大人向け(エロ)SF漫画が原作。
悪の科学者デュラン・デュラン(同名の有名バンド名の元ネタがこれ)が開発した破壊兵器による宇宙戦争危機を防ぐため、秘密エージェントのバーバレラがデュランの根城であるタウ・セティ星に潜入。男を乗り換えるついでに何となく危機も乗り越えてしまう超絶ドタバタ劇です。
当時30歳前後のジェーン・フォンダの美しい肢体が売りの本作は、「無重力ストリップ」でのビーチク&プリケツ大放出や、透明ボード上にうつ伏せに寝かせてその下からのアングルで撮ったり、窮地に陥る度に衣服が破れるなど適度にサービスシーンが炸裂。
加えて、本作のエロス表現はコメディの枠内にあり、終盤のパイプオルガン風エロ拷問マシーンに捕われ汗だくになって身悶えるバーバレラの絵面は、欲情するよりも先に腹がよじれる塩梅。ほかにも序盤でバーバレラが人形の集団に襲われ衣服が破れて肌を露わにされていくシーンもイチイチアップになる人形のチャチさに吹き出すハメになるでしょう。
バーバレラのカラッとした尻軽振りも特徴で、助けてくれたオッサンに言われるがままベッドインしたかと思えば、飛ぶことが出来ない盲目のイケメン天使と乳繰り合ったら、イケメン天使の飛行能力が復活! 処刑からたまたま救ってくれた地下抵抗組織の将軍とは、手合わせ感応テレパシーセックスで珍妙エクスタシー!!
本作監督が当時の夫だったとはいえ、のちにオスカーを獲る大女優がこんな謎映画でマジメにエロティック・コメディエンヌをこなしてるのは驚きの一言です。
さて、プロレスの場合、女性の"武器"をストレートに扱うアメリカのWWEに絞ってみると、かつてのディーバ(女子選手やマネージャ系出演者)は下着ファッションショーは当たり前、下着姿でキャットファイトも恒例行事。特にお色気担当は普段から露出の高い試合着や無駄に腰をクネつかせるアピールなど、番組上の"掴み"として機能していました。
「コメディ枠内のエロ」というのもお色気担当ディーバに似通っており、2000年代を代表するトリッシュ・ストラタスはまさにこの典型。悪党で鳴らすトリプルHに技を習う過程でいわゆるドゥギースタイルな体勢になっている瞬間を、トリプルHの恐妻ステファニーに見つかり観客大喜び!という感じで、コメディエンヌ(振り役)として大きな存在感を持っていました。
というワケで、大女優の熱演、手作り感溢れる奇抜なセット、謎演出、さらに無駄な躍動感に溢れるBGMのコンボが唸る本作。『ルパン三世』の不二子ちゃんを思わせるジェーン・フォンダの時代性を超えた美貌だけでも十分楽しめる作品であります。
(文/シングウヤスアキ)