憧れは「松田聖子」な木嶋佳苗、ブスでデブなのにモテるワケ

毒婦。 木嶋佳苗100日裁判傍聴記
『毒婦。 木嶋佳苗100日裁判傍聴記』
北原 みのり
朝日新聞出版
1,296円(税込)
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 男たちからだまし取った総額は、1億円以上。おまけに3人の男を練炭で殺害したとして、死刑判決を受けた女がいます。彼女の名は、木嶋佳苗。決して美人とは言えない、どちらかというと"ブス"で"デブ"な容姿にも、私たち国民は目が釘付けになりました。なぜ、彼女のようなルックスでも、男を騙せたのか......。多くの人が、こんな思いを抱いたに違いありません。

 コラムニストで、女性のセックストイショップ「ラブピースクラブ」代表も務める北原みのりさん。彼女の著書「毒婦。木嶋佳苗100日裁判傍聴記」を読むと、"木嶋佳苗"という奇妙な人間の魅力に、不思議と惹きこまれてしまいます。実際にナマ佳苗を見た男性記者たちの中には、「声、可愛くないか?」「十分イケル」「見ているうちに、どんどん可愛くなってきた」と話す姿もあったとか。佳苗は法廷で、自分のSEXについても赤裸々に語っていたと言います。

 「セックスにおいて、一般の女性とは違う世界を男性に与えられることが分かってきて、色々研究をしていくうちに、性の奥義を極めたく思うようになり、それがエスカレートしていくなかで、男性から受け取る額も、男性のクラスも上がってきて、ハイクラスの男性に対し、癒しや活力を与えるのが私の仕事になりました。一般の女性にできない、この分野でお金を受けることが正当な報酬だと思いました。セックスの対価としてお金を受け取ることに、それなりの努力をしていたのです」

 セックスという武器に加え、佳苗は料理も得意。男たちを家に呼ぶと、必ずテーブルに乗りきらないほどの料理を作っていたほど。胃袋をも掴んで離さなかったのです。

 そんな佳苗が、高校1年生の時に書いた文章には、こう綴られています。「松田聖子さんが一番です。美しいし、歌は上手だし、よく、女性週刊誌で悪口を言われてますが、そういうところも大好きです」と。

 世間からブスだのデブだの悪口を言われようと、彼女は彼女なりの自分の魅力を最大限武器にして、男たちを手玉に取ってきたのです。なんとも奥深い"木嶋佳苗"という女に、私たちはまだまだ翻弄され、惑わされてしまいそうです。

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