高速道路ではトラックに習え~『高速の渋滞、先に進むのはどちらか』
- 『高速の渋滞、先に進むのはどちらか―ズバッと見抜く心理術』
- 内藤 誼人
- 幻冬舎
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高速道路の渋滞、先に進むのはどの車線だろう。
この問題を解くためには、他の車の運転手になったつもりで、彼らの心理を読みとればよい。だいたい高速道路を利用するくらいなのだから、運転手は「早く着きたいな」という気持ちがあるに決まっている。運転手は、みなそういう気持ちでいるはずである。
では、早く進みたい人はどのレーンに集まるのか。当然、右車線である。なぜなら右車線は、追い越しが可能な車線なので、運転手は自然とそちらへ車線変更しようとするのだ。すると、どういう現象が起こるか。本来なら、早く進めるはずの右車線のほうが、渋滞が起こりやすくなり、かえって左車線のほうが空くので、早く進めるのだ。
渋滞は、皮肉なことに一番早く進めるはずの追い越し車線から始まる。だから、3車線あるとすれば、一番右側の車線は渋滞時に先に進みにくい。これは、東京大学先端科学技術研究センターの西成活裕教授の発表しているデータによっても裏付けられている。西成教授が渋滞しはじめた時の車の混み具合を調べたところ、左車線が25%、中央車両が35%、右車両が40%という分布になった。左車線のほうが、ずいぶんと空いているのである。また、車線2車線の高速道路でも同じようなデータが得られていて、走行車線は平均時速35kmで進めるというのに、追い越し車線は時速25kmでしか進めないという。
違った視点で考えてもいい。トラックに注目するのだ。トラックの車高は乗用車に比べて高く、運転席も高い位置にある。そのため、トラックの運転手は、乗用車の運転手よりも、はるか遠くまで見通すことができる。より遠くまで見通せるということは、どの車線が混んでいるかを、乗用車の運転手よりも早く察知できることを意味する。そのため、トラックの運転手は、渋滞している車線をいち早く見抜くことができ、空いている車線をスイスイと進んでいくのだ。また、トラックの運転手は、日常的に仕事で「渋滞慣れ」しているという点に目をつけてもよい。乗用車の多くが、旅行などでしか高速道路を利用しないのに対して、トラックの運転手は、合流地点などの渋滞が発生しやすいポイントをあらかじめ知っていると考えることもできる。
先手を打つための「見透かす力」。知っていると得をする38のルールが、書籍『高速の渋滞、先に進むのはどちらか』で紹介されている。人の「心の中」がわかれば、人生は豊かなものになることも教えてくれる。