2020年以降を生き残るためには、脱「チャレンジ童貞」すべし?

日本3.0 2020年の人生戦略
『日本3.0 2020年の人生戦略』
佐々木 紀彦
幻冬舎
1,296円(税込)
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 「今の日本人は『チャレンジ童貞』になっているのではないか」と著書『日本3.0 2020年の人生戦略』にて述べるのは、NewsPicks編集長・佐々木紀彦さんです。

 「東京五輪」「安倍政権、アベノミクスの終わり」「東京の人口減少」「団塊世代の引退」という4つの節目を迎える2020年までに、経済低迷が続いているとはいえ世界のなかで相対的に豊かであった日本は、第2次世界大戦後から続く平和で安定した時代が終焉を迎えることに。そのとき、「自分がまだ見ぬ世界、領域、場所、体験など、未知のものを異様なまでに怖がっている」(本書より)人たち、つまり"チャレンジ童貞"は、もっとも不要になるのだと佐々木さんは指摘します。

 一方、来たる新しい時代に求められるのは、「失敗してもはいあがり、しつこく挑戦する人間。常識を疑い、ゼロからイチを生み出せる人間。日本にとどまることなく、世界に飛び出す人間。何にでも好奇心を持ち、貪欲に知を求める人間。そして、自己愛を超えたプリンシプル、思想を持った人間」(本書より)だと述べる佐々木さん。そうした人材を増やすためにも、「早急に、海外組を育成せよ」と本書のなかで提言します。

 自身、2007年から2009年にかけてスタンフォード大学の大学院に留学した経験から、海外経験は「柔軟性、創造性、思考力」を育み、「自社の世界での強みをじっくり考えるきっかけにもなる」と指摘。とくに会社のリーダー候補は、徹底した語学のスパルタ教育を受けると同時に、古典や芸術、最新科学をはじめとする"教養"を学んでおくべきだと、留学を通じて痛感したといいます。

 「米国製のエリートは、若い頃から古典を山ほど読み、山ほど文章を書き、山ほど議論を重ねることで、知力を鍛え抜いています。それこそが日本製エリートとの違いです」(本書より)

 たとえば「日本の起業家にはビジョンがない、もしくは、ビジョンが弱い」という問題の背景にあるのも、この教養の差だという佐々木さん。世界や人間がどう成り立っているのかという根本的なところを学ばない限り、世界を変えるイノベーションを起こすことはできないのだと本書にて綴ります。

 これからの時代を読み、実際に動き出すための具体的なヒントに満ちた本書をバイブルに、脱"チャレンジ童貞"を目指してみてはいかがでしょうか。

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