原発事故と内紛で揺れるウクライナ......現地の人々の反応は?

ウクライナ100の素顔―もうひとつのガイドブック
『ウクライナ100の素顔―もうひとつのガイドブック』
東京農大出版会
1,728円(税込)
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 昨日、ウクライナ東南部にあるザポリージャ原発で事故が発生したとの報道が世界中を駆け巡りました。事故が起きたのは先週の金曜日で、6基ある原子炉の1基の電源装置が故障したことにより、原子炉本体が緊急停止。ウクライナ政府の発表によると、幸いに事故自体は軽微のようですが、過去にチェルノブイリ事故を起こした同国で、なおかつ世界で3番目の大きさを誇る原発の事故とのことで、欧州各国に懸念が広がり、欧州の株式市場にも影響を及ぼしました。

 今回の事故について、インターネット上では日本人だけでなく海外のユーザーからも「チェルノブイリの再来」「またウクライナか」といった声が多く聞かれているようです。一方、当のウクライナ人は今回の事故をどう捉えているのでしょうか。SNS上で現地の声を覗いてみると、このような反応が並びます。

「早く修理して欲しい。真冬なのに停電して寒い」
「放射能漏れがないなら興味ない。内紛の方が心配」
「毎日自宅の周りで爆発音が聞こえるから、原発事故くらいなんてことない」

 原発の事故そのものより、常に氷点下を記録しているこの時期に、事故により電力不足となった事態に苛立ちを隠せない声と、現在でも続くウクライナ政府軍と親ロ派武装勢力による東部地方での内紛を心配する意見が目立ちました。

 それもそのはず、日本ではほとんど報道されていませんが、約3か月前にウクライナ政府と武装勢力の停戦合意が成立して以降も戦闘は続いており、いまなお多数の死者が出ています。特に、武装勢力の中枢である東部ドネツク州の戦闘は激しさを増すばかりで、多数の死傷者が出ているだけでなく、歴史的建造物から墓地までもが破壊されているのです。"軽微"な原発事故に一喜一憂する余裕などないのでしょう。

 そのような緊迫した状況の中、現地のSNSでは、戦場での生活を余儀なくされているウクライナの人々のシニカルな声で溢れています。

「今日はまだ一回も銃声を聞いていない。なんか寂しい」
「もう夜になるが、まだ爆弾一つしか落ちていない!なんて日だ!」
「庭に被弾して、掃除のせいで食事が遅れた。お腹空いた」

 写真集『ウクライナ100の素顔‐もうひとつのガイドブック』では、そんなウクライナ人の素顔に迫っています。同書は2005年に発刊されたものですが、常に笑顔を絶やさないウクライナ人の陽気な生活を伝える写真の数々。彼らはあの空の下で、今、どのように生活しているのでしょうか。ウクライナの人々が一日も早く元の生活に戻れることを願うばかりです。

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