世の中に溢れている「頭の悪い日本語」を使うのは、もうやめませんか?

頭の悪い日本語 (新潮新書)
『頭の悪い日本語 (新潮新書)』
小谷野 敦
新潮社
778円(税込)
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「言葉は、現在、危機的状況にある」

 これは本書『頭の悪い日本語』のまえがきで登場している一節です。過剰な言葉狩りや差別語狩りを行う、誤用されている言葉を使い続け、異論があっても議論せずに言葉の意味を大衆の誤用に合わせたものに塗り替える、という姿勢を批判したものです。

 時代の変化と共に言葉が変化していくのはある程度仕方のないことですが、最近では新聞やテレビ等のメディアの中に上記のような姿勢が広がっており、筆者はそのような潮流に警報を鳴らしています。

 その一例として筆者は「看護師ファシズム」を挙げています。
「それまで法令上、男は看護士、女は看護婦だったのを、看護師に統一するとなったとたん、別に誰も『看護婦』が差別用語だと言ってもいないのに(私の知る限り)、突如として、新聞、テレビのみならず、一般書籍でまで、『看護婦』が『看護師』に変えられるという異常事態が発生した」(『頭の悪い日本語』より)

もう一つ、著者が不満に思っている気持ち悪い日本語の例として、以下のような言葉が挙げられています。
「黒人というのが差別用語だというので、米国にいる黒人を『アフリカ系アメリカ人』などと言うのだが、これは変で、アフリカでも北のほうはベルベル人やセム系民族で、黒人ではないし、ではアフリカにいる黒人は何というのか。しかも、白人、黄色人種、黒人と書くときは黒人とせざるを得ない」(『頭の悪い日本語』より)

 このような環境が形成されてきたことにより、非常に多くの言葉が本来とは違う意味で使われるようになってきました。それが果たして悪いことであるのか、または時代の変化に伴う必然的なことなのか、そのような議論は置いといて、今一度言葉の「本当の意味」というものを確認することは必要なのではないでしょうか。そこには、新しい発見があるかもしれません。

 本書では誤用や重言から著者の嫌いな言葉まで、間違って使われている日本語を約350語収録しています。会話のレベルを高めたい人はぜひ書店で手に取ってみてください。

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