先行きが不透明な時代には「直感力」のある人間が必要?

直感力 (PHP新書)
『直感力 (PHP新書)』
羽生 善治
PHP研究所
821円(税込)
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 将棋が80マスに40枚の駒で戦うようになったのは400年前。その間多くの棋士により、さまざまな定跡が編み出されてきました。現代の将棋では、データベースの構築により、戦法や型をどれだけ記憶しているかで勝敗が決することもあるといわれています。しかし、「データの重み、定跡を超えたリスクを冒してこそ、独自性、個性を伴った一手を指せる」と通算獲得タイトル数歴代1位を誇る、将棋棋士の羽生善治さんはいいます。

 将棋はひとつの場面で約80通りの可能性があるといわれており、相手の次の手を読みながら戦略的に打つ手を考えなければいけません。ですが、将棋の世界には、「長考に好手なし」という言葉があるほど、長く考えたからといっていい手が出せるわけではないのだそうです。

 羽生さんはその多くの選択肢の中から、「この手しかない」とひらめくときがあるといいます。そのときの様子を「羅針盤のようなもので、航海中に嵐に直面し、どのルート(指し手)をとればいいのか分からない。そのとき、突如として2、3のルートがひらめくことがある」とたとえています。つまり「直感力」が勝負を決める局面で発揮されるかどうかが大切なのです。

 普段、将棋のように直感力に頼る場面に遭遇しないという人もいるかもしれませんが、羽生さんは「自分を表現する上で"直感力"は大切」と指摘します。なぜなら「直感は無駄な迷い、思い、考えの無い状態で浮かび上がっているのだから、次に何をするか、何を望んでいるのかが如実に表れるから」(羽生さん)。

 その人自身が、周囲に流されず、独自性、個性を発揮できるのが「直感」。目に見えない能力ですが、その活かし方や磨き方があり、経験を積めば積むほどに鍛えることができると、羽生さんは自著『直感力』の中で語っています。
 
 先行きが不透明で誰もが決断できない時代。ブレイクスルーを果たす「直感力」がすぐに働くように、日頃から意識しておきたいものです。

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