「ものを新しくつくらないこと」ロングライフデザインを生み出す10ヶ条

- 『つくること、つくらないこと: 町を面白くする11人の会話』
 - 太田浩史,廣瀬俊介,鷲田清一,ナガオカケンメイ,鈴木毅,馬場正尊,西村佳哲,芹沢高志,広井良典
 - 学芸出版社
 - 1,944円(税込)
 
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MONO消しゴム、RICOH GRシリーズ、お〜いお茶、金鳥の渦巻......これらはすべて、グッドデザイン賞のなかにある、ロングライフデザイン賞を受賞したものです。同賞を受賞するには、もちろんデザインの良さは必要ですが、売り場から見て生産管理がしっかりしているか、ひと月で生産の限界値があるかなど、デザインと関係ないところでの評価軸があり、ここで評価される必要があります。
デザイナー・ナガオカケンメイ氏のデザインとリサイクルを融合した事業、D&DEPARTMENT(世田谷をはじめ国内に姉妹店が数カ所あるお店)のテーマは、『ものを新しくつくらないこと』。すでに生み出されているデザインや製品の中にも、普遍性を持ち、しっかりと売り続けられ、使い続けられる製品があると考え、D&Dでは、それらを発見し販売しているのです。使い続けることで、ようやくわかってくるロングライフデザインの製品。それらを発見する目を養うのは、そう簡単なことではありません。
取り扱うのはカリモク60のソファから、食器、文房具など様々。お客さんが手放す時には買い取って再び販売するなど、『消費の現場からのリサイクル』を提唱しています。
そんなD&Dが、ロングライフデザインを生み出す10ヶ条を書籍『つくること、つくらないこと』のなかで紹介しています。
 「修理」...修理をして使い続けられる体制や方法があること。
 「価格」...作り手の継続していく経済状態を生みつづける適正な価格であること。
 「販売」...作り場に作り手の思いを伝える強い意志があること。
 「作る」...作り手に「ものづくり」への愛があること。
 「機能」...使いやすいこと。機能的であること。
 「安全」...危険な要素がないこと。安全であること。
 「計画生産」...あくまで計画された生産数であること。予測が出来ていること。
 「使い手」...使う側が、その商品にまつわる商品以外に関心が継続する仕組みがあること。
 「環境」...いつの時代の環境にも配慮があること。
 「デザイン」...美しいこと。
 新しいものに目を向けることが当たり前になっていた最中に起こった大震災。大量消費することに慣れきっていた私たちは、一度、基本に立ち返る必要があるのではないでしょうか。「長く、丁寧に商品と関係を築く」。そんな毎日が、本来あるべき私たちの姿勢なのかもしれません。

