J-WAVE「BOOK BAR」×BOOKSTAND
アノヒトの読書遍歴 GAKU-MCさん(前編)
GAKU-MCさんの人生の根幹は
『キャプテン翼』で形成されている。
元EAST ENDのMCにして、現在は今年自ら立ち上げたばかりの音楽レーベル「Rap+ Entertainment」でソロ活動を行っているGAKU-MCさん! 今回は大の本好きでもあるGAKUさんの読書遍歴をひも解いていくことに相成りました。さて、GAKUさんといえばサッカー番組のMCやワールドカップのレポーターを務めるなど、大のサッカーファンとしても知られているわけだけれど、そのサッカー熱の始まりは小学生の頃に出逢ったあの漫画!
「サッカーファンになったのは、間違いなく小学生の時! 『週間少年ジャンプ』で『キャプテン翼』の連載が始まりまして、いやぁ読み倒しましたね~。なにせ、いまだに僕の人生の根幹にあるのは『キャプテン翼』だといっても過言ではないくらいですから」(GAKU-MC)
『キャプテン翼』が連載を開始したのは1981年。現読売ジャイアンツの原辰徳監督がプロデビューを飾り、江川卓さんが最多勝を獲得したというプロ野球全盛時代でもある。そんな折りにあえてサッカーでスポーツ少年の心を鷲掴みにしたのが、高橋陽一先生の『キャプテン翼』。ちなみに高橋先生自身は、子供の頃は野球少年だったという有名なトリビアもあるけれど、とにかくGAKUさんは『キャプテン翼』の登場によって「引っ張られるようにサッカーの魅力に取り憑かれた」(GAKUさん談)のだ。
「主人公の翼ももちろん大好きでしたけど、最も好きだったのは石崎くん。うまくなかったヤツがガッツでどんどん成長していくという、名わき役なんですよね。その姿が、なんだか自分と近いような感じがして、石崎くんを見ると他人な気がしない!って思っていたんです」
それからもう30年。人生のほとんどをサッカー愛の心を持って過ごしてきたGAKUさんは、本業であるミュージシャンとしての活動のほかに、冒頭でも触れた通りサッカー番組のレポーターなどとしてもご活躍。
「サッカー好きというところから、いろんな方からお声がけいただいて、何度もヨーロッパでサッカーを観る機会を得ました。でね、僕が日本人だとわかるとあちらのサッカーファンの方々が、"お! キャプテン翼の国から来たやつか!"って、そういう接し方をしてくれるんです。聞いてみると『キャプテン翼』のアニメは本当に世界中で読まれていて、向こうでは『オリバー&ベンジー』というタイトルでアニメまで放送されていたそうなんです。オリバーは翼、ベンジーは若林くんのことなんですがね。セリエAにも"オレもキャプテン翼を見てサッカーやってるんだよ!"みたいな選手が何人もいました。デル・ピエロさんにインタビューした時も"オレも『オリバー&ベンジー』観てたんだぜ!"って、必要以上に握手が硬くなったりしましたね(笑)」
というGAKUさん、実際に高橋先生と対面されたこともあるそうで、
「初めて会った時には本当に汗びっしょりになりました。すごく寡黙な方で、余計なことは一切言わずに(クールに)"どうも"みたいな感じの方なんですが。でもその紳士っぷりが素敵でね。自分の長年歩んできた道をこの人が照らしてくれていたんだなと思うと、なんだか言葉が出ませんでした。で、一つだけ自慢したいのは、高橋先生にインタビューした何ヶ月かあとの『キャプテン翼 GOLDEN-23』の扉絵で、翼の肩に僕の似顔絵を描いてくださったんです。それはもう、本当に僕の家宝です!」
と、とにかく熱く萌えまくった『キャプテン翼』の一方で、「白地図」を見るという地味な趣味も温めていたというGAKUさん。
「昔からいろんなところに行きたがりだったので、読書とはちょっと違うかもしれませんが、地図ばっかり眺めてましたね。特に白地図を見てぼーっとするのが大好きで。オレだったらここにアレを建てる! みたいなことを考えたりして。妄想癖があったのかもしれませんね。今でも、地方や海外に出かけると必ずホテルのフロントで地図をもらうようにしています。それを眺めながら、次の日の朝のジョギングコースをニヤニヤとシミュレーションするんです(笑)」
ちなみにGAKUさん、地図好きを追求すべく地図仲間を募集中だそう。地図好きの方がおられたらGAKUさんのTwitter(@gaku-mc)まで情報をお寄せください(と、ご本人より)。
後編では、GAKUさんの最近の読書事情をお届けします。お楽しみに!
GAKU-MC(がく・えむしー)
1970年、東京都生まれ。90年に「EAST END」を結成し、94年には「EAST END×YURI」名義の『DA.YO.NE』でヒップホップ初の紅白出演を果たす。今年、長年所属した事務所を独立し、自身のレーベル「Rap+Entertainment」を立ち上げ。"ラップで世界をプラスの方向に"をキーワードにライブ活動を展開している。また、11月に発売したアルバム『キュウキョク』は、完全手売りで販売。ライブ会場での販売のほか、HP(http://kyukyoku.raplus.net/)では、GAKUさん本人が購入者宛てにMP3ファイルをメールで直送するという異例の試みを行っている。「農業でいう顔が見える生産者のように、顔が見えるミュージシャンでありたい」という思いから。
さらに、「世界最後の夜」をメインテーマに、様々な人の生き様&メッセージを綴ったGAKUさんのエッセイ集『世界が今夜終わるなら』(A- Works)も好評発売中。西原理恵子、桜井和寿 (Mr.Children)、栗城史多、三代目魚武濱田成夫、SPEECH、清水圭、エリイ (Chim↑Pom)、斎藤誠、小倉隆史、SOFFet、椎名純平、四角大輔、ヨースケ@HOME、広瀬香美、Candle JUNE、小林武史、マエキタミヤコ、乙武洋匡、ナイス橋本、セヴァン・スズキ、東田トモヒロ、ハセベケン、akko (My Little Lover)、松本圭介、川原尚行、高橋歩、澤穂希(なでしこJAPAN)という、自分が選んだ道を歩む人生の旅人27人が描く「最後の日」とは。 GAKUさんの語り口がスッと心に入ってくる、ステキな一冊です。