ソーシャルメディアの時代、人間関係は性や世代を越える?
- 『明日のコミュニケーション 「関与する生活者」に愛される方法 (アスキー新書)』
- 佐藤尚之
- アスキー・メディアワークス
- 802円(税込)
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「いままであったはずの"壁"の存在を感じられない」
これは、書籍『明日のコミュニケーション』の著者で、コミュニケーション・デザインの第一人者ともいわれる佐藤尚之氏の言葉です。佐藤氏は、ソーシャルメディアの時代になり、さまざまな壁がなくなっていることを実感しているそうです。
例えば、性の壁。私たちは、男性とか女性とかを意識する機会が減ったのではないでしょうか。同じ目的のもとに自然と集まり、男女の区別なく同じゴールを目指して一緒に走っています。性だけでなく、世代の壁も同様です。年配の40・50代の人と学生が、ソーシャルメディア上で結びつき、対峙し、同じテーマのもと議論することがあります。組織の壁も、会社同士の壁も、地位の壁も、地域の壁も、国境の壁もそう。
同じ目的(属性)をもったとき、私たちはこれまでと同じような壁を感じられなくなっているのです。ぶつかるはずの壁が、いつの間にか消えているのです。社長も大臣も著名人も近いところにいるのです。ソーシャルグラフ(WEB上の人間関係)のつながりのすぐ向こうにいて、同じ方向を見ているので、すぐにつながることができます。佐藤氏は、総理大臣や内閣官房にアプローチできたことで、いままで立ちはだかっていた壁が無くなっていることを感じたそうです。
「ソーシャルグラフ(WEB上の人間関係)は性や世代を越える」
と、同書では紹介されています。これは、人々が同じ目的によって再編成されることを意味していますが、それは性や世代だけでなく、いままで築かれていた様々な「既存の壁」をも越えてしまうのかもしれません。
佐藤氏は、「これは若者にとって大きな希望である」と言います。彼らを苦しめ、閉塞感をもたらしていた既存の壁が、ソーシャルグラフによって目前から消滅しつつあるのです。
「少なくとも、目的をもって"動く"とき、そこにもう壁はない」(佐藤氏)
実際にアクションをしてみた人は、佐藤氏の言う"遮るものがない広い世界"を既に実感しているのかもしれません。