「マルちゃんする」メキシコで独自解釈されたカップ麺
- 『「マルちゃん」はなぜメキシコの国民食になったのか?』
- 安西洋之,中林鉄太郎
- 日経BP社
- 1,620円(税込)
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「カップヌードル」の発売40周年を記念して、日清食品から「カップヌードル」と「機動戦士ガンダム」のプラモデルをセットにした数量限定商品が、9月20日から発売されると発表されました。日清食品とガンダムとのコラボは今回で5回目。豊富な味やボリュームもさることながら、カップ麺が他商品や本格店などとコラボするキャンペーンは、日本で定着しつつあります。
そんなカップ麺の文化は、外国ではどのように広まっているのでしょうか。書籍『「マルちゃん」はなぜメキシコの国民食になったのか?』のなかで、食評論家の横川潤氏が紹介しています。
アメリカで売られているカップ麺は、日本のものに比べて味が薄く、1ドル前後(経済情勢により変動)と値段が安いのが特徴とのこと。「ローカルのスーパーではダース売りしていて、皆それをカートに投げ込んでいます。忙しい人が多かったり、せわしなく人が行きかう場所、例えば、職場や学食、駅などに自販機が置かれていたりして、とくに"カレッジフード"という印象があります」(横川氏)
1970年代に北米に進出してきた日系企業のカップ麺は、その後、80年代に入って「マルちゃん」がメキシコで支持を受けたそう。「その理由は、アメリカに出稼ぎに来ていた移民が、家族や友達へのお土産として、軽量のカップ麺を大量に持ち帰ったことが1つの要因と言われています」(横川氏)
プレゼントとしてマルちゃんをもらったので、メキシコではメーカーのコンセプトなどはほとんど耳に入っていない様子。よって、より自分たちの習慣や好みに合わせてカップ麺を受け入れていったのです。
その独特な習慣を横川氏が説明してくれました。「メキシコ人はマルちゃんに大量のチリソースをかけて真っ赤にして食べます。サルサバレンチーノというちょい辛のサルサや、ライムを搾ってかけて食べるのがメキシコ風。また、議会が早く終わった時は"議会がマルちゃんした"と言い、サッカーメキシコ代表の素早いカウンター攻撃を"マルちゃん作戦"と名付けたりしたことも」
日本で生まれたカップ麺は、私たちの想像に及ばない独自文化のなかで人気を集めているようです。どんなにスピードの早い攻撃を見たとしても、サッカーの作戦で「マルちゃん」とは、日本ではなかなか考えられないことです。