なでしこJAPANのエース・澤選手のデビュー戦は小学2年生

ほまれ ---なでしこジャパン・エースのあゆみ
『ほまれ ---なでしこジャパン・エースのあゆみ』
澤 穂希
河出書房新社
1,728円(税込)
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 女子W杯で優勝を果たしたなでしこジャパン。チームの力を一つにして獲得した世界一の称号に、今や国民栄誉賞の授与も検討されています。

 そんななでしこジャパンのなかで、最も印象に残った選手といえば、大会MVP・ベストイレブンに選ばれ、得点王にも輝いた澤穂希選手ではないでしょうか。

 今年で32歳を迎える澤選手は、若干15歳で日本代表にデビューしており、なでしこジャパンのなかではベテラン選手です。そんな経験豊かな彼女が、はじめて出場したサッカーの試合とは、一体どのようなものだったのでしょう。自叙伝『ほまれ』のなかで、"華々しいデビュー戦"が紹介されています。

 小学2年だった澤選手は、幼い年齢と女子だということで地元の名門クラブチームに入団させてもらえませんでした。そんなある日、兄の試合の応援をしていた澤選手をコーチが呼び寄せ、試合に途中出場させたのです。突然の出場にも関わらず、澤選手はなんとゴールを決め、チームの勝利に貢献。その出来事は瞬く間に地元で評判となり、新聞でも取り上げられたそうです。

 澤選手を見ていると、「男性だったらよかったのに」と思う人も少なくないでしょう。子供の頃は、女子ということで全国大会に出場できませんでした。また、Jリーグの影響でサッカーブームが巻き起こっても、女子サッカーは実業団レベルが長く続きました。
 しかし、先駆者として彼女がいたからこそ、そのあとに続く選手が生まれ、今回のW杯優勝が達成されたのです。

 澤選手は、母からかけてもらった言葉に大きな影響を受けたといいます。

 「女のくせに」と言われた少女時代には、「将来、『澤穂希という女の子は、サッカーを続け、こんなふうになりました』と、その男の子に胸を張れるよう、しっかりがんばりなさい」と。
 
 また、世界のトップレベルで技術を磨くべく、アメリカ行きを決断したときは、「チャンスの波に乗りなさい」とも。
 自信を失いそうになった時や、道に迷いそうになった時、母の言葉が澤選手を勇気づけていたそうです。

 W杯優勝決定後のインタビューで澤選手にマイクが向けられた時、母を見つけて誰よりも先に優勝を報告していたシーンは印象的でした。今回、澤選手に母からどのような言葉がかけられたのか、サッカーファンでなくとも気になるところです。

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